試飲結果報告(alle in een bestand)


Achel Antiek Blond Arabier Barbar (Lefebvre; Quenast) Blanche de Namur Blanche de Noel Boskeun Bourgogne des Flanders Brigand Brugs Blond Brugse Tripel Brugs Tarwebier Bush Cantillon Chapeau Chimay Chouffe Delirium Tremens Dentergems Deugniet Duchesse de Bourgogne Dulle Teve Duvel Echte Kriek Ename Fond Tradition Girardin Gouden Carolus Grimbergen Grottenbier Gulden Draak Hanssens Hapkin Hellekapelle Helleketelbier Het Kapittel Hoegaarden Houten Kop Judas Jupiler Karmeliet Tripel Kasteelbier Kerelsbier Kerstbie Kwak La Gauloise Leffe Leroy Liefmans Lucifer Lust Maes Maredsous Moeder Overste Moinette Mort Subite Noel Christmas Weihnacht Orval Palm Pater Lieven Petrus Poperings Hommelbier Regal Rochefort Rodenbach Rose De Gambrinus Saison Dupont Biologique SAXO St. Bernardus Slijtersbier Steedje tripel Stella Artois Stille Nacht Straffe Hendrik Troublette Verhaege Vondel Watou's Witbier Westmalle Westvleteren Witkap XX Bitter Zatte Bie

Achel
醸造所: De Achelse Kluis (De Kluis 1, 3930 Hamont)
ベルギー国内のトラピストビールを製造している修道院といえば、Chimay, Orval, Rochefort, Westmalle, Westvleteren の5つでしたが、これに新しくメンバーが加わりました。それが、AchelにあるSint Benedictus修道院です。修道院の敷地の中に醸造所兼カフェが建設され、営業をはじめたのが1998年のクリスマス前。ですから本当にまだ若い醸造所です。修道院の敷地をオランダ・ベルギーの国境線が走っています。醸造所はベルギー側にあるため、この醸造所で作られるビールはぎりぎりでベルギービールということになります。
瓶では販売せず、醸造所横のカフェで樽生を飲むしか手段がありません。空瓶を持っていって入れてくれと頼んでも断られます。
Achel 4
種類: トラピストビール
度数: 4%
独断と偏見による評価: ***
色はブロンド・透明。細かい泡はレースを作りながら意外と早く消えます。ホップの香りがかなり感じられます。一口飲んでみると、トラピストビールという言葉から受けるイメージと、味わいの落差にしばらく戸惑います。既存のトラピストビールのどこのものとも似ていない味で、第一印象は「薄い!」。ところが、水っぽくて薄い割に注意して味わうと、それなりにうまみ・ホップの苦味はしっかりとしています。苦味は後に残らずあっさりしています。全体的に何となく紅茶を連想してしまいました。これだけだと単に薄いビールですが、しばらく置いてから飲むとかなり味が変わるところは一筋縄ではいかないものを感じました。新しい醸造所でこれからまだまだ味も変化・成長すると期待されます。
Achel 6
種類: トラピストビール
度数: 4%
独断と偏見による評価: ***
色はブロンド・透明で細かい泡。ホップの香りが非常に強くかつ快く感じられ、苦さを予感させ口の中が自然と潤ってきます。口の中に入れると予想通りの強い苦味とモルトのかすかな甘味。外観からはWestmalle Tripelと似ているかと思わせますが、味はまったく異なり、このビールもトラピストビールという言葉から受けるイメージを頭に描いて飲むと肩透かしを食らいます。少し薄すぎるのではないかという印象を受けますが、しばらく置いてから飲むと断然うまみが増して来ました。苦味はかなり後まで残り、10分ぐらい後でもまだ苦味が残っています。でもその苦味は心地よい苦味です。


Antiek Blond
発音:
醸造所: Deca (Elverdingestraat 4, 8640 Woesten-Vleteren)
Antiek Blond
度数: 不明
種類: その他のエール
独断と偏見による評価: ****
色はアンバーでオリのため少し濁っています。 甘味は普通、含んだときにバナナのような、あるいは 吟醸酒のような香りがします。 培煎香も多少感じられます。 塩分を感じる、と言っている人もいました。 炭酸は少なめ。 はじめて体験する種類のビールでしたが、 バランス良くまとまっている素晴らしいビールでした。


Arabier
発音:
醸造所: Dolle Brouwers (Roeselarestraat 12b, 8600 Esen- Diksmuide)
Antiek Blond
種類: その他のエール
度数: 8%
独断と偏見による評価: ****
色は琥珀色。ホップの香りと甘い熟成香がします。 甘い香りの割には飲んだときの甘さはだいぶ控えめです。 ホップの苦みがかなり効いています。酸味は少なめですが、 炭酸は多く、非常にさわやかに感じます。 ちょっと飲んだだけではホップの苦さだけをまず感じますが、 実際は非常に複雑な味のボディと豊かな香りを持っているビールです。


Barbar (Lefebvre; Quenast)
発音:
醸造所: Lefebvre(Rue de Croly 54, 1430 Quenast)

Winter Bok
種類: その他のエール
度数: 8.0%
独断と偏見による評価: ****
ノーマルの Barbar は琥珀色をしていますが、これは褐色のビールで冬期限定発売のビール、つまりクリスマスビールです。ノーマルのBarbarとは単に色が違うというだけではなく、実際は全く別のビールと言ってよいと思います。飲む前の香りはあまりしないのですが、飲んで口の中で転がすと吟醸香にも似た香りが広がります。甘味、酸味はかなり控えめで、バランス良くマイルドに感じます。はじめはかなり違和感を覚えたのですが、慣れてくるとその麹のような香りが心地よく感じられます。喉越しも良。


Blanche de Namur
発音:
醸造所: Du Bocq (Rue de la Brasserie 4, 5530 Purnode)
Blanche de Namur
種類: 白ビール
度数: 4.5%
独断と偏見による評価: ***
Blanche de Namur はフランス語で「ナミュールの白」という意味です。Namur はブリュッセルから70kmほど東南方向にある町ですが、このビールは Namur からさらに南へ30kmほど南の Dinant 近くの Purnode という小さな町の Du Bocq 醸造所が作っています。この醸造所は他に Deugniet (Triple Moine), Saison Regal, La Gauloise などのビールを作っています。
白ビールですので色は例によって少し白濁した薄い黄色。甘味が少なく、炭酸や酸が比較的多いため、辛口でさわやかな味わいになっています。ただし小麦特有のぴりぴりした感じはあまりしません。非常に飲みやすく後にも残りません。少し薄すぎるような感じもしないわけではないのですが、さわやかさを追求した白ビールとしてこれはこれで非常に魅力あるビールだと思います。


Blanche de Noel
発音:
醸造所:Du Bocq (Rue de la Brasserie 4, 5530 Purnode)
Blanche de Noel
種類: 白ビール
度数: 4%
独断と偏見による評価: ***
名前から想像できるように、上述の Blanche de Namur をベースにしたクリスマスビールです。しかし、Blanche という名前が付いているのに、色は白でなく、オレンジ色に近い色をしています。香りはコリアンダーの香りが支配的。味も柑橘系の味で飲みやすいのですが、Blanche de Namur 同様少し薄すぎるような気もします。


Boskeun
発音:
醸造所: Dolle Brouwers (Roeselarestraat 12b, 8600 Esen-Diksmuide)
Boskeun
種類: その他のエール
度数: 8%
独断と偏見による評価: ***
非常に「辛口」でスパイシーなビールでした。 いかにも少量生産の地ビールといった感じの素朴な味です。 ラベルにはうさぎの絵が描かれています。 このビールの名前は、Dolle Brewersの現在の代表、Kris Herteleer氏の 兄弟(Dolle Brewersの一員かどうかは知りません)のニックネームから 付けられたそうです。 (耳たぶが大きいことからそう呼ばれていたそうです。) 色は濃い黄色、グラスに注ぐと泡がきれいに盛り上がります。 このビールは「イースタービール」で、名前の通りイースターのための 季節限定ビールです。 96年に飲んだときは香りはオレンジを思わせる濃厚な香り、 スパイシーな味と甘さが特徴でしたが、 97年のものは、甘さが若干なくなり酸味が表に出てきたような 気がします。このため、一口めがたいへんさわやかに 感じられるようになりました。 オレンジのような濃厚な香りはそのままでした。 炭酸は多めに感じました。


Bourgogne des Flanders
発音:
醸造所: Timmermans (Kerkstraat 11, 1701 Itterbeek)
Bourgogne des Flanders
種類: ランビック
度数: 5%
独断と偏見による評価: ***
少し甘いですが、酸味が適度に効いていて、すっきりとしていて飲みやすいビールです。炭酸は少なめ。色は濃い茶色ですが、色の割に培煎香が少なめです。さらに、飲んだ後にいやな成分が口に全く残らず、後味が非常に良いと感じました。
一見、そして飲んでみてもフランデレンの赤(茶)ビール(Old Brown, Old Red に分類されるもののようですが、実はこのビール、ランビックをベースにして作ったフランデレン赤(茶)ビールのイミテーションです。一般的なフランデレン赤(茶)ビールに比べ、酸味がそれほどには強くありません。
なお、Duchesse de Bourgogne と名前も色も似ていますが、別の醸造所によるものです。


Brigand
発音:
醸造所: Van Honsebrouck (Oostrozebekestraat 43, 8770 Ingelmunster
Brigand
種類: その他のエール
度数: 9%
独断と偏見による評価: ****
強烈な強さと濃厚などっしりとした味わいのビールです。 これぞベルギーのビール、という感じです。 甘みはそれほどでもありません。 色は濃い茶色、香りも豊かです。 日本にも輸入されているようです。


Brugs Blond
発音:
醸造所: Gouden Boom (Langestraat 45, 8000 Brugge)
Brugs Blond
種類: ゴールデンエール?
度数: 6%
独断と偏見による評価: ***
Brugse TripelBrugs Tarwebierを作っている Gouden Boom (「ハウデンボーム」あるいは「ホウデンボーム」と読みます)のビールです。 1997年頭あたりから急に見かけるようになって来たので、 おそらくそのあたりに新発売されたビールだと思います。 ラベルや専用グラスにブルッへ(ブルージュ)のMarkt(中心部の広場)から見た Belfort(鐘楼)の様子がセピア色に描かれています。 これはベルギー外でも受けそうです。
グラスに注ぐと、きれいな細かい泡が盛り上がります。 色は名前の通り鮮やかな黄色です。 香りでまず感じるのはホップの香りです。 甘味は少しだけあり、ホップの苦みも少しだけ感じられます。 酸味も多くもなく少なくもなく、といったところでしょうか。 炭酸は割と多めで、これが味を引き締めて辛口なものにしています。 全体に炭酸が効いて非常に新鮮でさわやかな印象を受けました。


Brugse Tripel
発音:
醸造所: Gouden Boom (Langestraat 45, 8000 Brugge)
Brugse Tripel
種類: その他のエール
度数: 9.5%
独断と偏見による評価: ***
Brugs という言葉は、町の名前 Brugge (ブルッへ、ブルージュ)の形容詞形です。 後に続く名詞の種類によって後ろに “e” が付いて Brugse になります。名前のとおり、このビールは Straffe Hendrikと並ぶ、ブルッへを 代表するビールでしょう。 日本国内では 「ブルージュ トリペル」の名で売られていることがありますが、上のアイコンをクリックして発音を聞いていただければおわかりの通り、現地の発音を素直に仮名で近似するなら「ブルフセトリペル」となります。
色は濃い琥珀色から薄い茶色で泡は少し粗め。熟したみかんのような甘い香りとともにかすかにホップの香りと培煎したモルトの香りが感じられます。泡は少し粗め。口に含むとメロンジュースのような甘味の後にアルコールのパンチがやってきます。香りからかなりのカラメル味を想像しますがそれほどではありません。口に含んで転がしているとホップのフレーバーが回ってきます。私が飲んだ時には少し甘すぎるように感じましたが、寒くて体が冷え切っている時にこれを飲むと体があたたまりそうです。


Brugs Tarwebier
発音:
醸造所: Gouden Boom (Langestraat 45, 8000 Brugge)
Brugs Tarwebier
種類: 白ビール
度数: 5%
独断と偏見による評価: ***
Brugse Tripelと同じ醸造所で作られているビールです。 フィルターを通していない白濁した、いわゆる「ホワイトビール」です。 色は少し濃い目のクリーム色をしています。 まず素晴らしいのは香りでしょう。甘酸っぱい、フルーティーな 何とも言えない良い香りが広がります。 甘みはかなり控えめ、炭酸も少なめ。含んだときの香りは ちょっと物足りないかなと思います。
ちなみに、tarwe とはオランダ語で「小麦」という意味です。


Bush
発音:
醸造所: Dubuisson (Chaussee de Mons 28, 7904 Pipaix)
ワロン地域(フランス語圏)のエイノー(Hainaut)州にあるDubisson醸造所のビール。醸造所の歴史は1769年までさかのぼります。Bush Beer という名前のビールは1933年から作られはじめました。当時、英国のビールがベルギー国内で流行し、英国風とベルギー風の両方の特徴を併せ持つビールとして Bush Beer の醸造をはじめたということです。英国風であることを表すため、醸造所の名前 Dubisson(フランス語、「森」の意)を英語に訳して Bush という名前を付けたそうです。
Bush Beer
種類: その他のエール
度数: 12%
独断と偏見による評価: ****
アルコールは12%とこれまた強烈です。ただし、飲んだ感じでは それほど高いようには感じません。つまり危険です。 かなり糖分も多く、甘く感じますが、しつこかったりべたべたしたりするのは あまり感じません。何よりも複雑な香り、甘さの後ろに隠れた 複雑なな味わいがすばらしいと思います。 わりとさっぱりした後味のよいビールがどちらかといえば好きな私ですが、 Westvleternなどのどっしり系ビールと同様、 ここまで徹底すると多少のしつこさは気にならなくなり、 かえってビールはこうでなくちゃ、と思えてきます。
Bush Noel
種類: その他のエール(クリスマスビール)
度数: 12%
独断と偏見による評価: ***
Bush Beer のクリスマスバージョンです。クリスマスの時期にだけ発売されます。色は褐色。カラメル香、ホップ香が一体となって濃厚な香りがします。飲むと、まずは12%のアルコールの強烈なパンチが、続いて強力なカラメルの味がします。度数から見るとアルコールは普通のBush Beerと同程度ですが、飲んだ感じではさらに強力になっているようにも思えます。カラメルの味と香り・甘さもさらに強力になっていて、本当にどっしりとした濃厚なビールです。個人的にはカラメルが少しきつすぎるように思えました。


Cantillon
発音:
醸造所: Cantillon (Rue Gheude 56 / Gheude Straat 56 Bruxelles / Brussel)
ブリュッセルにある、Cantillon 醸造所は、 伝統的な Lambic ベースのビールを作っています。
Gueuze Lambic
種類: グーズ
度数: 5%
独断と偏見による評価: ****
ラベルにはブリュッセル名物小便小僧の絵が描かれていますが、 この小便小僧は片手にビールのグラスを持っています。 このビールは非常に酸味の効いたビールです。 すごい酸味に、初めて飲んだときは、「何だこれ?」と思いましたが、 じっくり味わうと、強烈な酸味ですが同時に不思議と丸さと、 複雑な味わいが感じられます。 甘味は全くなく、辛口で爽快なビールです。 ただし、合わない人もいるかもしれません。
Kriek Lambic
種類: ランビック―フルーツビール
度数: 5%
独断と偏見による評価: ****
飲む前の香りはチェリーの香りとランビックの香り。 強烈に酸っぱいですが、Gueuze Lambic と同様、 複雑なうまみが感じられます。 甘さはわずかに感じますが、甘たるくなく、爽快なビールです。 ただし、これも合わない人がいるかもしれません。


Chapeau
発音:
醸造所: De Troch (Langestraat 20, 1741 Ternat-Wambeek
De Trouch 醸造所はランビックの醸造所で現存する最も歴史があるものの一つだそうです。伝統的手法に従い作られたここの醸造所のランビックは評判が非常に高いそうなのですが、残念ながら筆者はまだ試しておりません。ここに紹介するのは、果物のジュースをまぜて再発酵させて作った、アルコールの度数も低い「フルーツビール」です。
Kriek Lambic
種類: ランビック―フルーツビール
度数: 3%
独断と偏見による評価: ***
酸味がクリークのわりに少なめで、マイルドで飲みやすいビールです。まるでジュースのようです。口当たりが良く、香りもすばらしいのですが、飲みやすいだけで何だか物足りないような気もします。
Fraises Lambic
種類: ランビック―フルーツビール
度数: 3%
独断と偏見による評価: **
クリークのシロップの代わりにいちごのシロップを混ぜて再発酵させたものです。香りはいちごの匂いがぷんと漂います。しかし、味は少し甘すぎてしつこく、いちごの香りも飲み続けるに従い、何だか妙に人工的な香りのように思えてきます。あまり好きにはなれませんでした。


Chimay
発音:
醸造所: Chimay (Rue de la Trappe 294, 6464 Forges-les-Chimay)
ベルギー国内の5つのトラピストビールの中では一番知られているビールです。当然日本にも輸入されていて、ちょっとした酒屋さんならときどき置いてあります。度数の違いにより3種類あり、それぞれラベルの色が違っています。(青・赤・白がバックグラウンドの赤)。
Chimay Rouge
種類: トラピストビール
度数: 7%
独断と偏見による評価: ****
どっしりとした濃厚な味わいで、かつ甘酸っぱい、 スパイシーな、いかにもトラピストビールらしい味わいです。 日本でもこういう本格的なトラピストビールが気軽に手に入るのは本当にありがたいことです。


Chouffe
醸造所: Achouffe (Route du Village 32, 6666 Achouffe-Wibrin)
ベルギー南部のアルデンヌ地方にある小さな町Achouffeにある小さな醸造所で作られています。La ChouffeとMc Chouffeは日本にも輸入されています。
La Chouffe
種類: その他のエール
度数: 8%
独断と偏見による評価: ****
濃い黄金色から琥珀色に近い色で、こういう小規模な醸造所で作られているビールには珍しく、透明です。香りは非常にホッピーで巨峰を連想させるフルーティーな香りです。飲んでみるとまず苦味のパンチがありますが、すぐにジューシーで新鮮な甘さとなります。甘味は確かにそれなりにありますが、しつこくなく、後にもそんなに残りません。苦味が少しだけ勝りますが、甘味、苦味、そして酸味が絶妙にバランスしているすばらしいビールだと思います。
他のベルギービールとの比較で言えば、De Bie醸造所のHelleketelbierに似たところがあるように感じました。
ラベルには小人の老人の絵が描かれています。750mlの瓶が標準でこれより小さな瓶はないので、一人で飲む場合には心構えが必要でしょう。


Delirium Tremens
発音:
醸造所: Huyghe (Brusselsesteenweg 282, 9090 Melle)

Delirium Tremens (瓶)
タイプ: その他のエール
度数: 9%
独断と偏見による評価: ****
Delirium Tremens で「アルコール中毒による震え」という 意味だそうです。よく「デリリウム」と略して呼ぶ人がいますが、 そのままでは意味をなさないので「デリリウムトレーメンス」と 略さずに呼んだほうが良いと思います。
味の方はどっしりとしていて濃厚な味で、 まるでトラピストビールのTripelと称されるようです。ホップの苦みと香りがほんのりと効いています。色は以前はもっと濃い色だったような記憶がありますが、最近のものは淡色になってきているようです。ラベルには二日酔いになったときに幻覚で見える動物(ピンクの象さん?)が 描かれていてトラピストビールのようではありません。日本国内でもいろいろなところで見かけます。
Delirium Tremens van't vat
タイプ: その他のエール
度数: 9%
独断と偏見による評価: ****
Delirium Tremens の樽バージョン。瓶のものとそんなには変わらないが、炭酸とホップの香りと苦みがより際立っているように思える。色は淡色。


Dentergems
発音:
醸造所: Riva (Wontergemstraat 42, 8720 Dentergem)
Dentergems というのは正しくは銘柄名でなく Wit Bier/Biere Blanche Dentergems すなわち、「デンテルヘムの白ビール」というビールの名前の一部分なのですが、便宜上このように見出しをつけました。
Dentergems Wit Bier/Biere Blanche
タイプ: 白ビール
度数: 5%
独断と偏見による評価: ***
名前の通り白ビールに分類されるビールですが、白濁はしておらず透明な色をしています。飲む前の香りはほんのりと甘くて良いのですが、私が飲んだビールがすべて外れ物だったためか、何だか気が抜けて水っぽくて薄くてふにゃふにゃしているように感じました。甘味・酸味・苦みのどれをとっても他の白ビールよりも薄いと思います。個人的にはあまり好きになれませんでした。


Deugniet
発音:
醸造所: Du Bocq (Rue de la Brasserie 4, 5530 Purnode)
Deugniet
タイプ: ゴールデンエール
度数: 8%
独断と偏見による評価: *****
Deugnietはオランダ語(フラマン語)で悪ガキという意味です。 ラベルには変な格好をしたガキの絵が描かれています。 マイケルジャクソン本(「地ビールの世界」“The Great Beers of Belgium”)によると、Duvelの追随者とのことですが、 本家Duvelをしのぐビールといっても過言ではないでしょう。 ジューシーでフルーティーな、しかも土台はしっかりとしている 本当においしいビールでした。 PoperingeのHotel Palaceに1996年春に滞在中、 4月のBier van de Maand(今月のビール)として 勧められていたことがきっかけで試して以来、 このビールを非常に気に入っていて、何度も飲んでいます。 日本にも少量ですが輸入されているようです。喉が渇いたときの一杯目にも良し、 一晩の最後を締めるにも良いでしょう。
ちなみに、同じ醸造所が出している Triple Moine というビールとこのビールは中身が全く同じです。フランス語圏に出荷するときは Triple Moine という名前になり、オランダ語圏方面の場合は deugniet というラベルがつけて出荷されます。したがって、deugniet という名前も当然「デューヒニト」あるいは「デューグニト」とオランダ語読みすべきです。「世界ビール大全」ではこのビールに「デュニエ」などというフランス語風の読みを与えていましたが明らかに誤りです。


Duchesse de Bourgogne
発音:
醸造所: Verhaeghe (Beukenhofstraat 96, 8570 Vichte)
Duchesse de Bourgogne
種類: フランデレン赤ビール
度数: 5.5%
独断と偏見による評価: ****
色は真っ黒に近い赤褐色です。香りはあまりありません。 まず感じるのは酸味ですが、きつい酸味ではありません。 Rodenbach に似たところがあるかもしれませんが、 だいぶ控えめの酸味です。 適度の甘みと調和し、まるで何かのジュースを飲んでいるような 甘酸っぱい味です。舌触りもなめらかで大変気に入りました。 何度飲んでも飽きない味です。
このビールを作っている Verhaeghe 醸造所のセールス担当者に会う機会があったので、どのようにしてこのビールを作っているのか聞いてみました。ごく普通の手法で作った麦汁を上面発酵させ、オークの樽で長期保存することによって酸味を出すという、いわゆる“Oud Bruin (Old Brown)”や“Oud Rood (Old red)”などと呼ばれるビールと同様の手法で作っているとのことでした。甘酸っぱさは、保存期間が異なるもの(12ヶ月と18ヶ月のもの)をブレンドして作り出しているそうです。12ヶ月のものが甘さを出し、18ヶ月のものが酸味を出しているとか。筆者としては、このビールのジュースのような甘酸っぱさから、フルーツか何かを混ぜて発酵させていることを想像していただけに、少し意外な感じがしました。


Dulle Teve
発音:
醸造所: Dolle Brouwers (Roeselarestraat 12b, 8600 Esen- Diksmuide)
Dulle Teve
種類: その他のエール
度数: 10%
独断と偏見による評価: ***
西フランデレン州のほぼ真ん中にある Esen の Dolle Brouwersの ビールです。ラベルには怒ったおばあさんの顔が描かれています。 ひょっとして Dolle Brouwers(狂った醸造家たち、つまりDolle Brouwersの3人の兄弟) の母上のつもりでしょうか (Dolle Brouwersの紹介参照)。 非常に甘味を感じます。しかしながら、良くできたビールの常で べたつくような甘さではなく、濃厚ですがフレッシュで飲みやすく感じました。 飲む前の香りはオレンジを思わせるような香りでしたが、 口に含むとモルトの培煎の香りがわずかにします。 また、ホップの他に何か香辛料が入っているような気もするのですが、 よくわかりません。 個人的には、もう少し甘さが少ないほうが良いかな、と思いました。


Duvel
発音:
醸造所: Moortgat (Breendonkdorp 58, 2870 Breendonk-Puurs)
Duvelといえば日本で一二を争う人気のベルギービールです。 Duvelとはフラマン語で悪魔という意味です(そう、英語で devilに相当します)。しかし、オランダ語の辞書を引いても duvelという単語は載っていません。 それはduvelという単語がフラマン語、つまりオランダ語のベルギー北部における方言の単語だからです。オランダ語では duivel と綴ります。 これなら辞書にも載っています。
このビールはいろいろなところで見かけます。
Duvel Rood
種類: ゴールデンエール
度数: 8.5%
独断と偏見による評価: ****
グラスに注ぐと、メレンゲ状の泡が盛り上がり、いつまで経っても 消えません。石鹸が入っているのでは、と疑うほどですが、 もちろんそんなことはありません。 で、グラスを口に持ってゆくと、フルーティーな香りが ふわっと広がります。うー、やめられません。 口に含むと、意外なほど柔らかいのに、 じっくり味わっていると、底辺にしっかりしたものが感じられます。


Echte Kriek
発音:
醸造所:Verhaeghe (Beukenhofstraat 96, 8570 Vichte)
Echte Kriek
種類: フランデレン赤ビール―フルーツビール
度数: 5.8%
独断と偏見による評価: ***
名前の通り、クリークビールで色は赤茶色です。ただし、ランビックベースのクリークではなく、フランデレンの赤(茶)ビール(Old Brown, Old Redなどと分類されるもの)をベースにしたクリークです。 口当たりが良く、さわやかなビールです。 ちゃんと深みやこくもあり、「お子様向けの単に飲みやすいだけのクリーク」 という感じは全くしません。 炭酸は少なめで、これが口当たりの良さ、まろやかさを生んでいると 思われます。苦みを少し感じますが、ホップではありません。 培煎の苦みでしょうか。
“echte” とは「本当の」という意味のオランダ語(フラマン語)です(正確には形容詞“echt”が通性名詞という種類の名詞を修飾する時の変化形)。つまり、“Echte Kriek”とは本当にさくらんぼの果実を使った本物のクリーク、ということを意味します。ちなみにVerhaege醸造所では“Echte”を取った単なる“Kriek”も出しています。どんなものかはご想像下さい。


Ename
発音:
醸造所: Roman (Hauwaert 61, 9700 Oudenaarde-Mater)
Tripel Ename
種類: その他のエール
度数: 9%
独断と偏見による評価: ***
美味しいことは美味しいのですが、 何か単純な味に感じます。深みに欠けるというのか……。 ちびちびとじっくりと味わいながら飲んでいると、 だんだん飽きてきてしまいます。 喉が渇いた時の一杯目にぐっと飲むのに良いかもしれません。 ただし、度数が高いので後でどうなっても知りません。


Fond Tradition
発音:
醸造所: Van Honsebrouck (Oostrozebekestraat 43, 8770 Ingelmunster)
Fond Tradition
種類: グーズ
度数: 不明
独断と偏見による評価: **
Gueuze です。 非常に酸味があり、甘味はほとんどありません。 香りはまさに Gueuze の香りですが、 何か別のものが混じっているような感じがします。 酢が混じっているような気さえします。 出来そこないのランビックのようであまり好きにはなれませんでした。


Girardin
発音:
醸造所: Girardin (Lindenberg 10, 1700 Sint-Ulriks-Kapelle)
Girardin Kriek 1882
種類: グーズ―フルーツビール
度数: 5%
独断と偏見による評価 ****
Belle Vue や Mort Subite などの「お子様向け」量産品とは 一線を画すクリークです。(量産品だから悪いということではありません。 Belle Vue のクリークも美味しいビールだと思います。) コルクの栓を開けてグラスにビールを注ぐと、 まず気がつくのはその豊かなすばらしい香りです。 口に含むと控えめな甘さが感じられます。しかし、 だからといってぎすぎすした辛口のクリークかというと そういうわけではありません。酸味も少なめなせいでしょうか、 非常にまろやかに感じました。甘味も控えめ酸味も控えめ 薄いだけではないか、と思われるかもしれませんが、 そうではありません。ベースとなる Gueuze のこくが 生きていて非常に味わい深いビールでした。 飲んだ後、非常にさっぱりしていて後口が非常に良いのも 気に入りました。
Girardin Framboise 1882
種類: グーズ―フルーツビール
度数: 5%
独断と偏見による評価: *****
Framboise はラズベリーの果実やラズベリーの果汁を Gueuze や Lambic に漬け込んで再発酵させたものです。量産品の Framboise はそのラズベリーの香りが何か人工的で必要以上に甘さを感じるものが多いのですが、この Framboise はそういうものとは全く異なる自然な甘味の Framboise です。
瓶を空けただけでラズベリーの香りがぷんと漂って来ますが、人工的なしつこい香りでは全くありません。口に含んでもふつう世の中に出まわっている Frambose よりもだいぶ甘さが控えめで自然に感じます。後味もすっきりしていて非常に飲みやすいのですが、Lambic のベースの味もしっかりと感じます。飲みやすいのですが非常に複雑な味も隠し持っています。これは非常に気に入りました。


Gouden Carolus
発音:
醸造所: Het Anker (Guido Gezellelaan 49, 2800 Mechelen)
Gouden Carolus
種類: その他のエール
度数: 7%
独断と偏見による評価: *****
こげ茶色の本体の色から想像される味より、 だいぶ甘味は控えめです。香りは、飲む前の香り、飲んだ後の口に含んだ 香りもモルトの香りですが、しつこい香りではありません。 焦げ臭さは全くありません。 泡は少なめ。濁っています。 酸味、苦みとも適度で、 こくとさわやかさが共存していて、 おいしくてするすると飲めてしまうビールでした。 良くできた日本酒のような味わいのビールです。


Grimbergen
発音:
醸造所: Union (Rue Derbeque 7, 6040 Jumet)
Brussel/Bruxellsの空港(実際にはZaventemという町にある) からGent方面に高速を進んでちょっと行くとこのビールの名前の もとになった「フリンベルヘン」の町を通ります。 Brussel/Bruxells地域の地図を広げても載っています。 ベルギーのビールはなぜか町の名前をそのままビールの名前にする例が多いようです。 特に修道院があると、そこの修道院の名前に「なんとか修道院」という 形で町の名前が入っているので、修道院ビールが 結果的に町の名前を冠したものになることが多いようです。 ただし、このビールは Grimbergen の町とは離れた Jumet という所に 醸造所があります。 さらに、この醸造所Unionは現在では Alken-Maesグループの一員と なっています。
Grimbergenという銘柄でつくられているビールはOptimo Bruno, Tripel, Dubbel, Blond の4種類あります。 ラベルの色で、中身の色もだいたい想像できるようになっています。 不思議なことに、ラベルに書かれている原材料名の項目はオランダ語でもフランス語でもなく、ドイツ語です。
Grimbergen Dubbel
種類: 修道院ビール
度数: 6.2%
独断と偏見による評価: ***
色はこげ茶色で、泡はきめこまかくやわらかです。 飲む前の香りはモルトの香りが基調の甘酸っぱい香りです。 味はかなり甘いのですが、モルトの培煎による苦みを かなり感じます。ホップの苦みではないと思います。 酸味は適度です。 濃厚ではないのですが、培煎による苦みと甘酸っぱさが共存していて 複雑な味わいになっています。 色から想像するよりも口当たりがさわやかで後口もすっきりしていました。 苦みに少し癖がありますが、非常に飲みやすいビールでした。
Grimbergen Blond
種類: 修道院ビール
度数: 6.5%
独断と偏見による評価: ***
きめこまかく柔らかい泡です。ビールの色は濃い黄色。 飲む前の香りは、モルトの甘い香りです。ホップの香りは あまりしません。 口に含んだときには、色から想像されるよりもモルトの培煎香が かなりします。 味はかなり甘いですが、すっきりとしていて後口さわやかです。 酸味は適度で、甘酸っぱさが心地よいです。 美味しいのですが、少し薄いような気がします。奥行きが 足りないというのか、少し物足りなく感じました。
Grimbergen Tripel
種類: 修道院ビール
度数: 8.1%
独断と偏見による評価: ***
色は琥珀色に近い黄色。 口に含むとホップの香りが心地よく感じられます。 培煎香はあまりしません。 味はちょっと甘みがきわだっているけど、 くどいということはない。 ほんの少しの酸っぱさがこの甘さと合わさり、ちょうどいい具合の 甘酸っぱさになっている。苦みはほとんど感じない。 濃い目の褐色だからといって焦げ臭さを感じることもない。 濃厚だがべたべたせず、さわやかで飲みやすくかったです。
Grimbergen Optimo Bruno
種類: 修道院ビール
度数: 10%
独断と偏見による評価: ****
10%とかなりアルコールが多く含まれていますが、そんなに感じません。 泡はきめこまかいですが、量は少なめです。 色はかなり濃い琥珀色。琥珀色と茶色の中間ぐらいです。 非常に甘味を感じますが、べたつく甘さではありません。 飲む前の香り、含んだときの香りともにモルトの培煎の香りが かなりします。培煎による苦みもDubbel以上に感じられます。 非常にこくがあるのですが、さわやかさと共存しています。 アルコール度数の割に非常に飲みやすいビールでした。 ただし、培煎香がいつまでも口の中に残り 後口がすっきりしないのは少し好きになれませんでした。


Grottenbier
醸造所: De Smedt (Ringlaan 18, 1745 Opwijk)
ベルギー白ビールの父、ピエールセリスが再びベルギーで世に送り出した1998年冬に新発売のビールです。Grottenbierとは洞窟のビールという意味で、その名のとおりKanneという町の地下50メートルに広がる洞窟の中で熟成させたビールです。
Grottenbier Bruin/Brune
種類: その他のエール
度数: 6.5%
独断と偏見による評価: ****
色は茶色。泡は割と早く消えます。熟したみかんのような甘い香りが広がり、味のほうも熟れたフルーツに通じるものがあります。かなり甘いのですが、酸味、苦味とのバランスが良く、しつこさは感じません。そしてシャンパーニュのような炭酸がきりっとした爽快さをもたらしています。
色はたしかにかなり濃い色で、これだけ濃いとある程度モルトのロースト味が出てくるのが普通だと思いますが、それはまったく感じられません。


Gulden Draak
発音:
醸造所: Bios (Lindenlaan 25, 9940 Ertvelde)
Gulden Draak
種類: その他のエール
度数: 11.5%
独断と偏見による評価: ***
強烈に甘い、 べたつくほどの強い甘さです。 香りはモルトの香り、色は赤茶色。濁っています。 泡は細かく、多めです。 ただし、甘いと言っても、 単純に砂糖で甘くしただけのビールではもちろんありません。 単にべたつくだけの甘さだけではなく、じっくりと味わっていると、 複雑なうまみが感じられます。 個人的には少しバランスが悪いかな、という気もします。 フレッシュな感じはありませんが、 濃厚、どっしり系の、これもまた納得させられてしまう味ではあります。


Hanssens
醸造所: Hanssens(Vroenenbosstraat 15, 1653 Dworp)
今や数少なくなった、昔ながらの伝統的なグーズを作っている醸造所(ブレンダー)です。ここのビールの瓶にはラベルが貼られていません。少し前までは瓶にチョークで印を付け、その色でGueuzeかKriekかを区別していましたが、最近は瓶の栓のまわりにプラスチックのカバーをかぶせ(ワインのように)、その色で区別するようになっています。栓はコルクです。
Gueuze Hanssens
種類: グーズ
度数: 5%
独断と偏見による評価: ****
いかにもGueuzeらしい癖のある香りがするGueuzeがよくありますが、このGueuzeはその香りがあまりせずに、柑橘系のような、はたまた林檎を思わせるようなフルーティーな香りがします。味は伝統的Gueuzeにしてはマイルドな酸味で、まるでレモンのようです。ほのかな甘味さえ感じます。実際注意深く味わうと甘味はまったくと言って良いほどないのですが、フルーティーなフレーバーがそうさせるのでしょう。
Kriek Hanssens
種類: グーズ―フルーツビール
度数: 5%
独断と偏見による評価: ****(新しいもの) *****(熟成後)
色は少し赤みがかかった褐色で泡は少なめ。香りは強烈な酸味を連想させる酸っぱい香りで、実際味は予想通りです。しかしほのかな甘味もあり、まるで、まだ青みが残った若いさくらんぼをそのまま食べたようなフレッシュな味わいです。これを5年ほど熟成させたものは酸味の角が取れて、まろやかでさらに上品なKriekになっていました。


Hapkin
発音:
醸造所:Louwaege (Markt 14, 8610 Kortemark)
Hapkin
種類: ゴールデンエール
度数: 8.5%
独断と偏見による評価: ***
Duvelに似ていますが、Duvelをさらに繊細にしたような 香り・味のビールです。メレンゲ状の泡さえさらに細かいのでは、とさえ思います。 グラスが薄手なこともあり、繊細だと錯覚するのかもしれません。 このグラスを買って日本に持ってくる時には、 割ってしまうのではないかと非常に気を使いました。
ビールの色はDuvelより若干濃い黄色です。 甘味、炭酸、酸味のバランスが素晴らしく、後味もきりっと 引き締まり、さわやかな感じです。 香りも非常に豊かに感じます。


Hellekapelle
発音:
醸造所: De Bie (Stoppelweg 26, 8978 Watou)
Hellekapelle
種類: その他のエール
度数: 5%
独断と偏見による評価: ****
このビールは Zatte BieHelleketelbierと同じく Watou の De Bie 醸造所で作られています。 ラベルは魔女シリーズで、箒にまたがった魔女が描かれています。 鼻に近づけた時の香はホップの香りが主で特に変わったところはありません。 飲んでみてまず感じるのはホップの苦みです。 かなり苦いですがくどくはありません。 炭酸はきつめ、甘さ、酸味は少なめですが、 ホップの苦みとのバランスが絶妙で非常に新鮮な印象を受けます。 Helleketelbier と比較するならば、 Helleketelbier から甘味を少し減らし、 ホップの苦みを前面に出したような感じでしょうか。 Helleketelbier とどちらが好きかと聞かれれば、 個人的には Helleketelbier の方が好きですが、 Hellekapelle も捨て難い気もします。 De Bie の併設カフェ d' Hellekapelle のおばさんは 「私はこちらの方が好きだ」、と言っていました。


Helleketelbier
発音:
醸造所: De Bie (Stoppelweg 26, 8978 Watou)


醸造所の併設カフェ d' Hellekapelle
Helleketelbier
種類: その他のエール
度数: 7%
独断と偏見による評価: *****
ホップの国 Poperinge の南部にある小さな森、Helleketel の森の 名前を取ったビールです。Helleketel の森は天気が良い日は、ちょっと ハイキングをしたりするのに良さそうです。中は自転車やバイクで 通り抜けもできます。 Helleketel の森の近くにぽつんと 二つの小屋が建っています。そこが De Bie 醸造所と 併設カフェ d' Hellekapelleです。 こんな所で本当に売り物のビールを作っているのだろうか、 と思ってしまうような小さな、本当に小さな建物でビールが作られています。 他に Zatte BieHellekapelleを作っています。
閑話休題。ビールそのものの方に進みましょう。 色はアンバー、少し濁っています。グラスに鼻を近づけると、 オレンジのような良い熟成の香がします。 控えめな甘さ、心地良いホップの苦みがして 新鮮なさわやかなビールに感じます。 味自体は濃厚で非常に奥が深いのですが、 それなのにさらっとしていて、飲んだ後も爽快です。 自転車を一生懸命こいでたどりついて飲んだからでしょうか、 本当に爽快な幸せな気分になれました。 ただし、「控えめな甘さ」と書きましたが、 それなりに糖分はあります。 甘いビールが嫌いな人には合わないかもしれません。
瓶のデザインは Hellekapelle と同様、魔女シリーズです。 猫二匹に囲まれた魔女が火に壷をかけて何かをかき混ぜている絵が 描かれています。(左側のラベル参照) ちょっと、飲む気を起こさせるような絵柄とは言えませんが。


Het Kapittel
発音:
醸造所: Van Eecke (Douvieweg 2, 8978 Watou)
Watouの Van Eecke醸造所が 作っているAbdijbier(修道院ビール)です。 Abt, Prior, Dubbel, Paterの4種類が出ています。
Het Kapittel Pater
種類: 修道院ビール
度数: 6.5%
独断と偏見による評価: ****
色は赤茶色、甘味、酸味ともに適度。炭酸が多いためが、 さわやかですっきりとしています。香りも甘酸っぱい香りです。 修道院ビールと、こくがあってどっしり系のものが多いのですが、 これは甘酸っぱくてさわやかで、かつフルーティーなビールでした。


Hoegaarden
発音:
醸造所: Hoegaarden (Stoopkensstraat 46, 3320 Hoegaarden)
現地の発音を片仮名で近似すれば「フーハールデン」あるいは「フーガールデン」にとなります。 どう聞いても「ヒューガルデン」には聞こえません。 今となっては「ヒューガルデン」という呼び名が広まってしまったのでしょうがないのですが、日本語に対応する音がないならともかく、「フ」という音で近似できるのになぜわざわざ別の「ヒュ」という音を割り当てたのか疑問です。(オランダ語の綴り字規則で“oe”は[u:]という音になります。)
さて、このビールは今や日本でもっとも有名なベルギービールの一つでしょう。 1997年はじめには、セブンイレブンでさえも、"Verboden Vrucht" や "Hoegaarden (wit bier)" などが 売られていましたが、その後残念なことにセブンイレブンからは消えてしまいました。しかし、依然として最も手に入れやすいベルギービールであることは確かでしょう。
Hoegaarden Wit Bier/Biere Blanche
種類: 白ビール
度数: 5%
独断と偏見による評価: ***
レモンのような新鮮な甘酸っぱささえ感じるビールです。 小麦がに材料に含まれています。 正直言うと、初めて飲んだときは、あまり気に入らなかったのです。 なんだかすえたような匂いがかすかするような気がして…。 でもそれに慣れた後はすごく魅力的なビールに変わりました。 色は薄い黄色で、ろ過していないせいか、Wit bier の名のとおり白く濁っていて、 グレープフルーツジュースのように見えます。 味も新しいものならジュースのような味わいです。
Hoegaarden Speciale
種類: 白ビール
度数: 5.6%
独断と偏見による評価: ***
Hoegaarden の冬期限定特別バージョン。ラベルに Goudblond(=ゴールデンブロンド) Witbier と書かれているように、見た目には普通のWit Bierよりもかなり濃い色をしています。甘味は少なめ。炭酸が多くさわやかで辛口に感じます。コリアンダーの香りも少し多めに感じます。端的に言えば、普通の Wit Bier を濃くしたようなビールです。また、普通の Wit Bier に微かに感じられる変な癖のようなものがなく、結構気に入りました。
Hoegaarden Verboden Vrucht
種類: その他のエール
度数: 9%
独断と偏見による評価: ***
Verboden Vrucht とは Forbidden Fruit すなわち禁断の果実という意味です。 セブンイレブンでも「禁断の果実」という名前で売られています。 (1997年1月現在) 色は茶褐色。甘み、苦み、酸味がほどよく調和していますが、 多少苦みがきついかな、とも思います。 コリアンダーをスパイスとして使っているそうです。 ラベルにはアダムがビールを用いてイブを誘惑している絵が 描かれています。そのせいか、「アダムとイブ」なる名前で 売られているのを見かけたことがありますが、 「禁断の果実」でなくて「アダムとイブ」なる名前をつかうことに 意味があるとはあまり思えません。
Hoegaarden Grand Cru
種類: その他のエール
度数: 8.7%
独断と偏見による評価: ****
色はかすかに濁った濃い黄色、ふつうの Hoegaarden wit bier を 熟成させたような色です。 味もまさにそのような感じです。 ただし、Wit Bier と違い、小麦は材料に使っていません。 レモンのような新鮮な甘酸っぱさはさすがに感じられませんが、 その分、まろやかさとフルーティーな香りが増しています。 泡の量は少なめです。


Houten Kop
発音:
醸造所: Strubbe (Markt 1, 8480 Ichtegem)
Houten Kop
タイプ: その他のエール
度数: 6.5%
独断と偏見による評価: ****
色は薄い茶色。薄い麦茶のような色です。 泡はクリーミーで細かく、なかなか消えません。 鼻に近づけ、香りを楽しむと、 ホップの他、明らかに別のスパイスの香りも感じます。 甘さ、酸味ともに適度ですが、炭酸が非常に多くて辛口に感じます。 モルトの風味も若干しますが、 何といってもこのビールは、 そのスパイスの味・香りに非常に特徴があります。 友人のビール通に聞いてみたところ、「アニス」を というスパイスを使っているそうです。 このスパイスのせいか、さわやかで飲みやすく、 口の中がスカッとして後口も良いビールです。
なお、ちなみに、Houten Kopとは 「木の頭」を意味します。 「木の頭」とは二日酔いのことだそうで、 Delirium Tremens (アルコール中毒による震え)と 同じようなネーミングのセンスですね。


Judas
発音:
醸造所:Union (Rue Derbeque 7, 6040 Jumet)
Judas
種類: ゴールデンエール
度数: 5.8%
独断と偏見による評価: ***
飲む前の香り、一口めの甘さは非常に心地よく、特に香りは すばらしいと思いましたが、しばらく飲んでいると甘みばかりが 目立ってきました。 苦みはそれほどではありません。炭酸は普通。 名前からして Duvel に雰囲気が似てますし、 香りも味も確かに似ているところがありますが、 ちょっとくどい感じがしました。


Jupiler
発音:
醸造所: Jupiler (Rue de Vise 243, 4020 Jupille-sur-Meuse)
Jupiler
種類: ピルスナー
度数: 5.2%
独断と偏見による評価: **
ベルギー国内でこのビールの看板がかかった店をよく見かけますが、 Jupiler自体は普通のピルスナービールです。 まぁ、わざわざ飲むほどのものでもないでしょう。


Karmeliet Tripel
発音:
醸造所: Bosteels (Kerkstraat 92, 9255 Buggenhout)
Karmelit Tripel
種類: その他のエール
度数: 8%
独断と偏見による評価: ***
Kwakを作っているBosteel醸造所から 1997年はじめに新発売された新しいビール。 17世紀から伝わるレシピに従い、 3つの麦(小麦、オート麦、大麦)から作られたビールというのが 売り文句のようです。 色はオレンジ色で少し濁っています。泡は少なく、粗めです。 専用グラスの上部はHapkinのグラスに似ています。 飲む前の香りは、ホップの豊かな香りと控えめな甘い香り。 飲むと、非常に甘く感じます。 酸味、炭酸は普通のベルギーのビール程度。 あと、非常に辛さを感じます。 口に入れたときの香りも非常に豊かで、 それなりに良いビールだとは思いますが、 少し甘すぎるような気がします。 他のどのビールに似ているだろうか、といろいろ考えたのですが、 一番近いのはJudasかな?と思います。


Kasteelbier
発音:
醸造所: Van Honsebrouck (Oostrozebekestraat 43, 8770 Ingelmunster)
Kasteelとはフラマン語(オランダ語)で「城」という意味です。Ingelmunster自体はオランダ語圏ですが、フランス語圏での販売のため、“Biere de Chateau”というフランス語名もラベルに書かれています。ラベルにはどこかわかりませんがお城の絵が描かれています。 なお、2つの種類(Tripelとそうでないもの)のうち、 中身が褐色のTripelのラベルは黒っぽく、 中身が黒いものはラベルが茶色になっているので、 ちょっと間違いのもとです。 グラスは、写真でもわかるようにかなり特徴的な形をしています。
Kasteelbier
種類: その他のエール
度数: 11%
独断と偏見による評価: ***
色は黒。香りが豊富でほのかな甘酸っぱさも 感じられるのですが、ちょっと甘みがきつく感じました。
Kasteelbier Tripel
種類: その他のエール
度数: 11%
独断と偏見による評価: ****
色はブロンド。Westmalle Tripelにも似た、濃厚な味わいです。 Westmalle Tripelの苦みを少なくしたような感じです。 特に印象的だったのは豊かな香りです。 口に含まずともグラスを近づけるだけで 甘い香りが漂ってきました。


Kerelsbier
発音:
醸造所: Leroy (Diksmuideseweg 406, 8904 Boezinge)
Kerelsbier
種類: ドルトムンダー
度数: 6.4%
独断と偏見による評価: ***
下面発酵ビールです。色は確かに黄金色で「普通の」ビールっぽいのですが、 ピルスナーとは全然ちがう味わいと香りです。 瓶とビールサーバでは若干味が違っていて、 瓶で出されるものは、わずかに甘みを感じます。 樽から出されるものは甘みが少ない代わりに 香りが豊富のような気がします。 喉が渇いたときにぐっと飲むのにも良いし、 ちびちびやっていてもこくがあり、飲んでいて飽きません。
飲んだときのほのかな甘さから、私はこのビールをずっと 上面発酵ビールの一種だと思っていました。 実は、生まれて初めて味わったベルギービールはこれなのです。


Kerstbie
発音:
醸造所: De Bie (Stoppelweg 26, 8978 Watou)
Kerstbie
種類: その他のエール
度数: 8%
独断と偏見による評価: ***
西フランデレン(フランダース)州の西はずれの町Watouにある小さな醸造所、De Bie醸造所 が出しているクリスマスビール。この醸造所がふだん出しているZatte Bieというビールのクリスマスバージョンと言っても良いと思います。ちなみに、Kerst とはオランダ語で「クリスマス」、Bie とは「蜂」という意味です。Zatte Bie 同様に色は真っ黒。カラメル香がかなりします。甘さは Zatte Bie 以上に強烈な甘さです。しかし、ただ単に甘いビールというわけではなく、まろやかで複雑なものも感じられます。素朴ですが、非常に濃いどっしりとした味のビールです。


Kwak
発音:
醸造所: Bosteels (Kerkstraat 92, 9255 Buggenhout)
Pauwels Kwak
種類: その他のエール
度数: 8%
独断と偏見による評価: ***
褐色で、ちょっと甘目のありがちなエールです。 甘みがくどいと感じる人もいるかもしれません。 深み、複雑さといった点では物足りなくも 感じました。 でもこのビールを有名にしているのはそのグラスでしょう。 真ん中がキュっとくびれているという、非常に特徴的な形状をしているグラスです。 底は丸くて不安定なのでそのままでは立てることができず、 木製の補助器具を使ってテーブルの上に置きます。 真ん中のくびれはある意味で危険です。 そのままの飲みかたを最後まで続けていればわけがわかるでしょう。 そう、気を付けないと、飲みおわるときに、 グラスからビールが Kwakという音とともに 飛び出して来るのです。
さて、Gentの有名なカフェDulle Grietでこのビールを頼むと 面白いことが起こるという話です。 靴を脱げる準備だけはしておきましょう。 水虫は治療し、靴下は穴のあいていないものを履いていきましょう。


La Gauloise
発音:
醸造所: Du Bocq (Rue de la Brasserie 4, 5530 Purnode)
Namur州Dinantの郊外にあるDu Bocq醸造所が作っているビール。もともとはBruneの一種類しかありませんでしたが、最近BlondeとAmbreeが加わりました。どのビールもスパイスを効果的に使っていることが特徴です。また、写真でもおわかりかと思いますが、専用グラスが非常におもしろい形をしています。富士山の頂上を切り取り取っ手を付けたようなグラスです。ただし、この形は奇をてらったものではなく、グラスの上部を狭くすることにより泡が出口を塞ぎやすくなり、香りが逃げないようにするためではないかと愚考します。

Ambree

Blonde

Brune
La Gauloise Ambree
種類: その他のエール
度数: 6%
独断と偏見による評価: ***
色は少し濃い琥珀色、泡は少なめです。香りはホップの香りとコリアンダーの香りが主体です。ホップの苦みが効いていて後にも残ります。色の割にカラメル香と味がかなり残ります。全体的に辛口に仕上がっていて飲みやすいのですが、スパイスの効かせすぎのせいか何となく人工的な感じがするビールでした。
La Gauloise Blond
種類: その他のエール
度数: 6.8%
独断と偏見による評価: ***
色は輝かしい黄金色でほとんど透明です。きめ細かく柔らかな泡が盛り上がり消えません。ホップとオレンジの皮がもたらす甘い香が魅力的です。他にコリアンダーも入っているのに違いないと思いましたが、公開されている情報によればコリアンダーは入っていないようです。ホワイトビールに似た風味の甘さと苦さのバランスがとれたビールです。軽く風味が豊かでかつ複雑なところも感じられるビールなのですが、このビールも Ambree 同様、何となくスパイスを調合して作りこんだような人工的な印象が拭いきれません。
La Gauloise Brune
種類: その他のエール
度数: 8.5%
独断と偏見による評価: ****
色は赤茶色。少し濁っていますが、向こう側は透けてみえる程度です。泡は少なめ。オレンジの皮の特徴ある香りが漂います。アニスをスパイスとして用いているのも特徴です。メロンを思わせるようなフルーティーな味と香りで、一口目が抜群に旨いビールでした。良くできたどっしり系の日本酒(に炭酸を混ぜ色を赤茶色にして)飲んでいるような気さえします。後に苦さが少し残るのが気になるといえば気になりますが、それを差し引いてもすばらしいビールだと思います。


Leffe
発音:
醸造所: Hoegaarden (Stoopkensstraat 46, 3320 Hoegaarden),
St. Guibert (Rue de Riquau 1, 1435 Mont-Saint-Guibert)
Leffe という名前のビールを作っている醸造所は2つあります。 1つはHoegaarden wit bier でおなじみの Hoegaarden醸造所、もう一つはブリュッセルの南 Mont St. Guilbert という町にある St. Guilbert 醸造所です。 Leffe Tripel を作っているのが De Kluis で残りのビールを 作っているのが St. Guilbert です。 もともと Tripel も含めて St. Guilbert が作っていたようですが、 現在はこのようになっています。 どういう経緯でこうなったかはよくわかりません。 どちらの醸造所も Interbrew 社に属しています。
Leffe Tripel
種類: 修道院ビール
度数: 8%
独断と偏見による評価: ****

Hoegaarden Grand Cru と Leffe Tripel
Hoegaarden Grand Cru と Leffe Tripel の比較
甘酸っぱさも感じる新鮮な味わいと熟成によるフルーティーな香りが調和し、 非常に心地よいビールです。舌触りもなめらかです。 実は、このビールと Hoegaarden Grand Cru が実は同じビールではないか、 という疑惑(?)があったそうです。 (どちらも De Kluis が作っている。) 味を比べてみると味、色、泡の出方、香りともに確かに本当によく似ていて、 同じではないかと言う疑問もうなずけます。 しかし注意深く味わってみると、Leffe Tripel の方がわずかに甘み、 苦みが多いようです。 色をくらべるとこちらの方が多少濃い黄色をしています。 というわけで疑惑は晴れました。
Leffe Blonde
種類: 修道院ビール
度数: 6.3%
独断と偏見による評価: ***
色は濃い目の黄色。飲む前に嗅いでみると甘酸っぱい香りが広がり、 飲んでみるとなるほどたしかに美味しいです。 甘みは少し多め、酸味、炭酸も適度でそれなりにまとまっていて 心地よいのですが、どうも深みが足りないような気がします。 口に含んだときの香りがどうも弱いように感じました。
Leffe Brune
種類: 修道院ビール
度数: 6.3%
独断と偏見による評価: ***
色は黒。鼻に近づけると培煎香と甘酸っぱい香りが漂います。 こういう培煎がきつい黒いビールはやたらと甘くてべたべたしたのが多いですが、 そういった甘さは全くなく、控えめな甘さでほどよい酸味とマッチしています。 第一印象では、これはいい、と思ったのですが、 しばらく飲んでいるとなぜか飽きてきました。 口に含んだときの香りも少し物足りなく感じました。 それなりに美味しいビールだとは思います。


Leroy
発音:
醸造所: Leroy (Diksmuideseweg 406, 8904 Boezinge)
猫祭りで有名なイーペル(Ieper)の中心から約10キロ北方に行ったところにある ブーズィンゲ(Boezinge) という町にある醸造所です。
Leroy X'mas
種類: その他のエール
度数: 6.8%
独断と偏見による評価: ***
Leroy 醸造所がクリスマス期間限定で出しているビールです。色は濃い茶色。とにかくモルトのカラメル香と甘い味が非常に効いていて、洗練からは程遠いどっしりとした素朴な味わいのビールです。酸味も少し感じます。いろいろな風味が混じり合い複雑な味わいなのですが、個人的には、カラメル香が強すぎて今一つ好きになれませんでした。


Liefmans
発音:
醸造所: Liefmans (Aalststraat 200, 9700 Oudenaarde)
Oud Bruin(Old Brown; オールドブラウン)あるいはVlaams Bruin (Flemish Brown;フランデレンのブラウンビール)というタイプに 分類されるビールを作っている代表的な醸造所。RIVAグループの一員です。
Liefmans Goudenband
種類: フランデレンブラウンビール
度数: 6.5%
独断と偏見による評価: ****
Goudenbandとは「金のリボン・帯」という意味です。写真からもわかるように瓶は白地に青い文字が書かれた紙で包装されていて、ラベルの縁の部分が帯状に金色になっています。多分、この醸造所のいちばんの自信作というくらいの意味でしょう。
グラスに注ぐと何やら Gueuze にも似た酸っぱい香りを感じます。色は褐色。口に入れると、香りから想像される通りの強い酸味をまず感じますが、すぐにそれはまろやかな酸味に変わり、裏側に広がる複雑な味に気がつきます。かすかな甘味とモルトの苦みとこくがほどよく調和しています。いろいろな成分が単に溶け込んでいるのではなく、それぞれが自己主張しているように感じました。
Liefmans Kriekbier
種類: フランデレンブラウンビール―フルーツビール
度数: 6.5%
独断と偏見による評価: ****
“Kriek”という名前がつけられていますが、ランビックや Gueuze をベースにしたクリークではありません。Oud Bruinにさくらんぼを漬け込み再発酵させたビールです。Oud Bruin らしい酸っぱい香りとともに強烈な酸味を感じます。甘味はほとんどなくて厳しい味ですが、不思議としつこくなくて後に残りません。単純な味ではなく、複雑でいろいろな味が溶け込んでいます。気に入りました。瓶は赤色の紙で包装されています。
Liefmans Oud Bruin
種類: フランデレンブラウンビール
度数: 5%
独断と偏見による評価: ***
色は名前の通り茶色。 非常に酸味があり、甘酸っぱい味が特徴です。 Rodenbach に少し似ています。 非常に飲みやすくさわやかなビールでした。上述の Goudenband を若いビールとブレンドしたものだそうです。


Lucifer
発音:
醸造所: Riva (Wontergemstraat 42, 8720 Dentergem)
Lucifer
種類: ゴールデンエール
度数: 8%
独断と偏見による評価: ***
Duvelに非常に良く似たビール。 飲む前にはホップの豊かな香りと甘い香りがします。 香りはduvelより豊かですが、味は、甘味が少し少なめです。 炭酸は多め。苦みはホップによる苦みで、 培煎による苦み、培煎香はあまりありません。 Duvelに良く似ていてそれなりにおいしいとは思うのですが、 名前も何だか似ていますし、単なるコピーの域を出ていないように思います。 ちなみに、オランダ語で「ルスィフェル」とは 堕天使ルシファーだけではなく、「マッチ」という意味もあります。 そのためか、「ルスィフェール」と頼んだら、このビールではなく、 マッチが出てきたことがあります。


Lust
発音:
醸造所: Lust (Kortrijk)
Lust
種類: フランデレン赤ビール
度数: 不明
独断と偏見による評価: ****
何と20年以上熟成させたビールです。 色はこげ茶色、濃厚な香りと複雑な味をもっています。 酸味は普通のビール程度ですが、炭酸は長い熟成の間に 消えてしまったのか、ほとんど感じられません。 甘味はほんの少しだけあります。 苦みもほとんどありませんが、わずかに渋味を感じます。 まるでビールとは別の飲み物のようでした。 いっしょに飲んだ人でこれを「ポートのようだ」と 言った人もいます。 何で20年以上も熟成されたものが出回ったのか。 話を聞くと、ある人が元のビールを大量に買い込んで 自分の家の地下室に大量に保存したまま忘れ去られていたのが、 最近たまたま発見されたそうです。


Maes
発音:
醸造所: Alken-Maes (Waarloosveld 10, 2550 Waarloos)
Maes Pils
種類: ピルスナー
度数: 5.1%
独断と偏見による評価: ***
ピルスナービールです。 他にベルギーのピルスナービールと言えば、Jupiler、Stella Artois、 Primusなどがありますが、 ベルギーで売られているピルスナーの中では一番良いと思います。 ただ、含んだときの香りがホップがよく効いているせいかちょっと独特で、 癖があるように感じる方もいるかもしれません。 運動して汗をかいた後、水分補給のために飲むビールとしては 最も適していると思います。
あと、パーティーに誘われたりした場合、普通のベルギービールを ベルギー人のペースに合わせて飲みながら彼らと付き合っていると、 ほぼ確実に滅びるので、 この程度のアルコールのビールなら長続きさせることができます。
サベナベルギー航空(SN)の機内サービスのビールの一つです。
Maes Cool
種類: ピルスナー
度数: 5.7%
独断と偏見による評価: ***
発酵後に氷点より低い温度にしてアルコール度数を高めたいわゆるアイスビール。Maes Pilsに比べほのかな甘みと甘い香りがあります。 Maes Pilsに耳かき一杯だけの蜂蜜を混ぜたような味、といったら良いでしょうか。 日本のピルスナービールとはだいぶちがう味です。チェコのピルスナーに味の傾向が少しだけ似ているような印象があります。 現地のあるMaes Pilsの常飲者は、「嫌いだ。」と言っていましたが、 私は結構いけると思いました。


Maredsous
発音:
醸造所: Moortgat (Breendonkdorp 58, 2870 Breendonk-Puurs)
Duvelで名高いMoortgat醸造所が出している修道院ビールです。Maredsous修道院に伝わるレシピに従って作っていると言われています。
Maredsous 6 Blond
種類: 修道院ビール
度数: 6.4%
独断と偏見による評価: ***
Maredsousの名前で出されているビールの中で最もアルコール度数が低いビール。色はアンバー(琥珀色)で、香りは甘酸っぱい香りがします。口に含むと甘味はそんなに支配的でなく、べたべたせずに飲みやすく洗練された味です。ホップもかなり効いていてさっぱりした味で、バランスが非常に良くまとまっています。ただし、修道院風の名前から想像される濃厚な味とは対極にある味で、これを果たして修道院ビールと呼んで良いものかは疑問です。修道院風の名前を頭から消し去って純粋に楽しむぶんには良いビールだと思います。


Moeder Overste
発音:
醸造所: Lefebvre (Rue de Croly 54, 1430 Quenast)
Moeder Overste
種類: 修道院ビール
度数: 8%
独断と偏見による評価: ***
Moeder はオランダ語で「マザー」、Overste は「一番高いところの」という意味です。マリア様を表すのか、修道女で一番位が高い女性を表すのかよくわかりませんが、いずれにせよこういう宗教風の名前を付けて売られているビールがベルギー国内で多いのは面白いところです。
味のほうは、甘味がかなりきつく、カラメル香のせいもあり時にべたべたします。苦みもこくもあり、それなりにおいしいとは思いますが、酸味がほとんどないのでさわやかさには欠けるかもしれません。飲む前の香り、口に含んだときの香りも、モルトの培煎香が支配的で、最初の一口には良いかもしれませんが、しばらく飲んでいると飽きてきてしまいます。


Moinette
発音:
醸造所: Dupont (Rue Basse 5, 7904 Tourpes-Leuze)
Moinette Biologique
種類: その他のエール
度数: 7.5%
独断と偏見による評価: *****
ラベルはSaison Dupont Biologiqueと非常に 良く似ています。味の方も似ているところがありますが、 アルコールの度数も 7.5% と高く、明らかに別のビールです。 色は透明、初めに泡が出てすぐに少なくなってきます。 見た目は日本のピルスナーのようです。しかし、味は全く違います。 一口口に含むと、甘酸っぱい香が広がります。 炭酸は多め、ホップの苦みもだいぶ感じられますが、 甘味、酸味と本当に絶妙な具合で調和していて、 新鮮な世界が作り上げられています。飲んでいるうちにふと 「淡麗辛口」という言葉が思い浮かんできました。 単に新鮮なだけではなく、よく味わっていると、熟成したビール 特有の果実香、味がゆっくりと顔を出してきます。 飲みやすく奥が深い、素晴らしいビールでした。


Mort Subite
発音:
醸造所:
Mort Subite とは「突然死」という意味だそうです。 名前の由来は、Brussel/Bruxelles市内にある同名のカフェからだそうです。 醸造所自体は現在では Alken-Maesグループの一員になっています。
Mort Subite Kriek
種類: グーズ
度数: 4.5%
独断と偏見による評価: **
泡はピンク色、ビールの色は真っ赤です。 甘酸っぱい香りがします。 酸味はKriekでは普通か少なめ、甘味はかなりあります。 炭酸が多いので非常にすっきりとしています。 しかし、甘酸っぱさフレッシュさだけが前面に出ていて 何だか単なるジュースのようで、物足りませんでした。 これはこれで飲みやすくて良いとは思うのですが、 すぐに飽きてしまいます。


Noel Christmas Weihnacht
発音:
醸造所: Verhaeghe (Beukenhofstraat 96, 8570 Vichte)
Noel Christmas Weihnacht
種類: その他のエール
度数: 7.2%
独断と偏見による評価: *****
Verhaege 醸造所がクリスマス限定で出しているクリスマスビール。色は明るい黄金色で泡はなかなか消えません。一見ピルスナー風で一口目もピルスナーに似ていなくもないのですが、じっくりと味わって飲んでみると全然違います。ホップの苦みと香りが際立ち、新鮮かつ複雑な風味のビールでした。舌の上でころころと転がすと、バナナを思わせる柔らかいフルーティーな香りと味が控えめですが十分に存在感を持って口の中にじわっと広がります。ほのかに甘いが決して甘すぎず、まろやかで奥行きがある感じがします。べたついた感じは微塵もありません。あくまであっさり軽やかなのですが、じっくりとうまみも感じられるすばらしいビールでした。強いて言うならSaison Dupontと似ているかもしれません。


Orval
発音:
醸造所: Orval (Orval 2, 6823 Villers-devant-Orval)
ただ一種類のビールだけを作っているトラピスト修道院。 修道院自体の歴史は1132年にさかのぼります。 フランス革命中に破壊されましたが、1926年に再建され、 その後しばらくしてビールの醸造もはじめました。
Orval
種類: トラピスト
度数: 6.2%
独断と偏見による評価: *****
ここで紹介するまでもなく、 このビールの素晴らしさは色々なところで語られつくされていますが、 筆者も自分なりの言葉でこのビールの素晴らしさを表現したいと 思います。
グラスに注ぐと、ホップの香りと甘い熟成香が漂います。 色は琥珀色。泡は少なめです。 モルトの培煎香が口に含んだときにわずかに感じられます。 ホップの際立つ香りはいうまでもありません。 甘味、酸味は適度、ホップの苦みが非常に効いていますが、 しつこい苦さではなく、非常にさわやかです。 濃厚ですが、後口が非常に良く、ホップの苦み、香り、 そしてほのかな甘味と酸味、これらが合わさって 非常に複雑な味となっていて、かつ素晴らしく まとまっています。 飲むたびに新しい発見があるビールです。 このビールをじっくりと一口一口味わいながらの食事は、 最高の時間だと思います。


Palm
発音:
醸造所: Palm (Steenhuffeldorp 3, 1840 Steenhuffel)
Palm Dobbel
種類: その他のエール
度数: 5.2%
独断と偏見による評価: **
冬期限定の Palm。普通の Palm (Speciale) に比べ、平べったい単純な味に感じます。香りはモルトのカラメル香とホップの微かな香りが感じられます。飲んでみるとカラメル香は気にならないのですが、何だか下品な甘さが感じられます。酸味は少なめ。気のぬけたような変な甘さだけが感じられ、これなら普通のPalm(Speciale)の方が良いと思いました。
Palm Speciale
種類: その他のエール
度数: 5.2%
独断と偏見による評価: ***
色は琥珀色。鼻に近づけるとホップの香りがかすかに感じられます。 甘さはベルギーのビールにしては控えめで、 飲みやすいです。 また、何の味か具体的にはよくわからないのですが、 パンのような味がちょっとします。 炭酸が多いためか、口当たりはさわやかで、 まとまっていて非常に飲みやすいビールでした。 一杯目には非常に良いと思います。 ただし、少しおとなしすぎるかな、とも思いました。


Pater Lieven
発音:
醸造所: Van Den Bossche (Sint-Lievensplein 16, 9550 Sint- Lievens-Esse)
Pater Lieven Blond
種類: 修道院ビール
度数: 6.5%
独断と偏見による評価: ***
宗教的な名前が付けられた典型的な修道院ビール。色は琥珀色で透明です。ホップの香りと甘い香りが漂います。味も苦みは若干少なめですが、甘味、酸味、炭酸がバランス良くまとまっていて、かなり濃厚なのにさわやかで心地よく感じます。含んだときの香りも非常に上品でした。ただ、今一つインパクトに欠けるというか、印象が薄いというのが正直なところです。


Petrus
発音:
醸造所: Bavik (Rijksweg 33, 8531 Bavikhove)
Petrus Triple
種類: その他のエール
度数: 7.5%
独断と偏見による評価: ***
上の Triple というのはタイプミスではありません。 どういうわけか、オランダ語圏なのにラベルにはオランダ語表記の Tripel ではなく、Triple と英語(フランス語?)で書かれています。 香りは甘いフレッシュな香りと、ホップの香りがわずかにします。 口に含むと、吟醸香にも似た甘い良い香りがします。 かなり甘めで濃厚な味ですが、どろどろしているわけではなく、 新鮮でなめらかな感じです。 色は濃い黄色。黄金色と言っても良いでしょうか。 何かのビールに非常に似ているような感じがするのですが、 思いつきませんでした。
Petrus Oud Bruin
種類: フランデレン赤ビール
度数: 5.5%
独断と偏見による評価: ****
香りは Rodenbachに代表される「フランデレン赤ビール」に よくある、甘酸っぱい香りです。 口に含むと、培煎香を若干感じます。 甘味は控えめ、例によって酸味はかなり強いです。 Rodenbachに似ていますが、もう少し濃厚でこくがあるビールでした。 少し後に残るのが気になりましたが、 これはこれで素晴らしいビールだと思います。


Poperings Hommelbier
発音:
醸造所: Van Eecke (Douvieweg 2, 8978 Watou)


Van Eecke 醸造所(Watou)
Poperinge の町はベルギーの西外れのフランスとの国境に 近いところに位置しています。 フランス国境まで車で10分、自転車で30分ほどしかかからないのですが、 完全にフラマン語(オランダ語)圏です。 小さな地図なら良く見ないと見落としてしまうかもしれない小さな町ですが 歴史は大変古いそうです。 9月頃このあたりを通ると、周辺の畑にはホップが生い茂っているのがわかります。 そう、この町はホップの産地として名高い町なのです。 この町では3年に一度、 ホップ祭りが開かれます。 ヨーロッパじゅうから人が集まり、小さなこの町も、 この時は大いににぎわいます。 次回は今年、1999年です。
さて、このホップの聖地の名前を冠したビール、それが Poperings Hommelbier です。 ただし、醸造所は Poperinge ではなく、少し離れた Watou(ワトゥー)という町にある Van Eecke という醸造所です。(Watou は Poperinge 市に属します。) この醸造所は Watou の町の中心の広場からPoperinge方面に歩いて30秒の所に あります。他に、Watou's Witbier、 Het Kapitel を作っています。


Poperinge の名物料理 Hennepot と Poperings Hommelbier
Poperings Hommelbier
種類: その他のエール
度数: 7.5%
独断と偏見による評価: *****
色は濃い目の黄色です。蜂蜜のような色です。 見た目には日本のビールとそんなに違わないように見えますが、 飲んでみると全然違います。 色に似合わず濃厚な味で、微かに甘みも感じられます。 また、ホップの産地のビールらしく、 ホップが非常に効いているのがわかります。 何というのか、甘くて、苦くて、濃厚で、ちょっとだけ甘酸っぱくて…と 一言では言い表せない複雑な味でした。


Regal
醸造所: Du Bocq (Rue de la Brasserie 4, 5530 Purnode)
区分の便宜上“Regal”という名前を銘柄名として扱っています。
Saison Regal
種類: セゾンビール
度数: 6%
独断と偏見による評価: ***
発音:
色は茶色に近い琥珀色。甘味、酸味、苦みともに控えめ。 ちょっと不思議な味でした。 口に含む前の香りも口に含んだ後もモルトの培煎香とホップの 香りがしますが、これも控えめです。 口当たりよく、後味もよいのですが、何だかきれいすぎて 何だか薄い味にも感じます。 不思議な味でした。
Regal Christmas
種類: その他のエール
度数: 9%
独断と偏見による評価: ****
発音:
これはSaison Regalのクリスマスバージョンだと思われます。色は褐色。香りはコリアンダーの香りとホップの香りが主体。味はホップから来る苦さとモルトの甘味がバランス良くまとまっていますが、舌の上で転がしているとコリアンダーのフレーバーも広がり、甘苦さと結合して非常に独特な風味に感じられます。Saison Regal と比べると、甘さと苦さが若干多めになっていると思います。培煎したモルトの苦みが少し後をひいて残るのが気にはなりますが、非常にユニークな味のビールでした。


Rochefort
発音:
醸造所: Abbeye Notre Dame de St. Remy (Rue de l'abbaye 8, 5580 Rochefort)
トラピストビールのうちの一つ。名前がフランス綴りに なっていることからもわかるように、修道院は ベルギーの南のナミュール州にあります。 10、8、6の3種類があります。
Rochefort 10
種類: トラピスト
度数: 11.3%
独断と偏見による評価: *****
濃厚どっしり系のうまい日本酒にも似た、 甘いが非常に複雑な味を持つビール。 泡は少し粗く、色は黒に近い赤茶色。 控えめなモルトの香りが広がります。 飲むと、強烈なアルコールのパンチ(11.3%)の裏側に 甘酸っぱい、フルーティーな何とも言えない良い香りがします。 色のわりに培煎香はあまり感じられません。 滋味豊かな複雑な味わいは、 チーズとともにちびちびやるのに良さそうです。 11.3%もある割にはさわやかで、するすると飲めてしまい、 ちょっと危険なビールでもあります。


Rodenbach
発音:
醸造所: Rodenbach (Spanjestraat 133, 8800 Roeselare)
Rodenbach 醸造所は西フランデレン州のど真ん中、Kortrijk と Ieper の中間にある Roeselare (ルースラール)という町に あります。1836年に始まった歴史ある醸造所で、 酸味が特徴の非常に独特のビールを作っています。 日本でもいろいろな所でこの醸造所のビールをよく見かけます。
Rodenbach
種類: フランデレン赤ビール
度数: 5%
独断と偏見による評価: ***
際立った酸味が特徴の赤褐色のビールです。 Grand Cru と一次発酵が終わったばかりの ビールとを3:1の割合で混ぜて作るそうです。 そのため、Grand Cru に比べると酸味が穏やかです。 とは言うものの、初めて飲んだときは酸味にびっくりしました。 喉が渇いたときに良いと思います。
Rodenbach Grand Cru
種類: フランデレン赤ビール
度数: 6.5%
独断と偏見による評価: ****
一次発酵が終わったビールをさらに18ヶ月間貯蔵し、 じっくりと発酵させて酸味を増やしたのがこの Grand Cru だそうです。 本当に強烈な酸味です。一口飲んだだけでは「なにこれ?」と 思うかもしれません。しかし、口に含んで良く味わってみると、 酸味に隠れた複雑なうまみが顔を出してきます。
Rodenbach Alexander
種類: フランデレン赤ビール―フルーツビール
度数: 6.5%
独断と偏見による評価: *****
Grand Cru にチェリーを加えたもの。つまり、 Grand Cru の「クリーク」バージョンとでも申しましょうか。 Grand Cru 強烈な酸味はチェリーの風味のせいで いくぶん控えめに感じますが、 フレッシュな味わい、複雑なうまみはそのままです。 これは本当に美味しいビールです。 日本でも色々なところで見かけます。 こんなビール(日本の酒税法上では多分発泡酒になるでしょうが)が、 日本でも飲めるなんてすばらしいことです。


Rose De Gambrinus
発音:
醸造所: Cantillon (Rue Gheude 56 / Gheude Straat 56 Bruxelles / Brussel)
Rose De Gambrinus
種類: ランビック―フルーツビール
度数: 5.0%
独断と偏見による評価: ****
Brussel/Bruxelles の中心からそんなに遠くないところにある Cantillion (カンティヨン醸造所)が作っているフランボワーズ(ラズベリーやラズベリーのジュースをグーズに漬けて再発酵させたもの)。フランボワーズというと、普通はラズベリーの果汁の甘さがそのまま残っていて、甘くてべとべとしがちです、これは正反対。甘味はほとんどなく、非常に酸味があり、辛口のビールです。香りに微かにラズベリーの香りが漂っているのが感じられますが、決していやみな人工的な香りではありません。非常に酸味があり、初めは「何だこれ?」と思いましたが、この酸味に慣れてくると、Cantillion の他のグーズやクリークのように複雑な味わいを感じます。


Saison Dupont Biologique
発音:
醸造所: Dupont (Rue Basse 5, 7904 Tourpes-Leuze)
Saison Dupont Biologique
種類: セゾンビール
度数: 5.5%
独断と偏見による評価: ****
色はふつうの黄色透明で、少しだけ濁っています。 瓶の底にはイーストがたまっているので、ちょっと乱暴に 注げば白濁したビールになることでしょう。 泡は少なめです。味はホップの苦みをまず感じますが、 苦すぎるということはありません。 ほんのりとした甘味があり、適度な酸味と合わさって 新鮮な甘酸っぱさが感じられます。口に含んだときの香は少なめです。 おとなしいけれどもまとまっているように思いました。


SAXO
発音:
醸造所: La Caracole (Cote Marie-Therese 86, 5500 Falmignoul)
SAXO
種類: その他のエール
度数: 7.2%
独断と偏見による評価: ****
あまり知られていないことですが、楽器のサクソフォーンの発明者はアドルフ・サックスという人で実はベルギー生まれなのです。現在の200フラン札にも彼の肖像画が描かれています。彼はベルギーの南のほうにある Dinant(ディナン) という町(コテコテのフランス語圏です)で生まれたため、この Dinant という町には SAX 通りとか、SAX という名前のカフェなど、彼にちなんだ名前のものが数多くあります。このビールもその一つでしょう。ラベルにもサクソフォンの絵が描かれています。このビールは Dinant の町にある醸造所 La Caracole によって作られています。この醸造所はまだ歴史が浅いのですが、良質のビールを次々と発表して最近注目を集めているそうです。
さて、肝心のビールそのものですが、グラスに注いですぐに感じられるのは、ホップのすばらしい香りです。色は黄色。口に含むと、アルコールをかなり感じますが、気になるほどではありません。ホップの苦みがかなり支配的ですが、あとに残るいやな苦みでなく、非常にさわやかです。甘味も実はかなりありますが、ホップのさわやかな苦みの影響のためか、しつこい甘味には感じません。あえて今までに飲んだ他のビールと比較するなら、Poperings Hommelbier に似ているように思えました。


St. Bernardus
発音:
醸造所: Sint Bernardus (Trappistenweg 23, 8978 Watou)
ベルギー第5のトラピストビール醸造所であるSint Sixtus Abdijから "St. Sixtus"の名前のライセンスを受けていましたが、 現在はWestvleternのところでも 書いているようにそのライセンスを返上しています。 St. Bernardusと宗教風の名前ですが、修道院などとの関係はありません。
ビールの種類は Pater 6、Prior 8、Abt 12、Tripelの4つです。 どのビールのラベルもお坊さんが左手に丸いグラスに入った ビールを持った絵で統一されていますが、背景の色だけは変えていて、 6がオレンジ色、8が赤、12が青、Tripelが緑色となっています。
ある本(翻訳本)では、この醸造所を St. Bernard と英語風(フランス語風?) に綴った挙げ句、「サン・ベルナール」などと(フランス語風に?)カタカナが 振られていました。 フランス国境に近いとはいえ、Watouは完全なオランダ語地域です。ですから、 読み方は(日本語で近似するなら)「セント・ベルナルドス」でしょう (Sint は 「セント」に近く発音されます)。 ラベルにちゃんとSt.Bernardus と書かれているのに、 なんでわざわざusを落としてSt. Bernardになっているのか、 もしわざとやっているのだとしたら理解しがたいものがあります。

Pater 6
パーテル・ゼス

Prior 8
プリオル・アハト

Abt 12
アブト・トワルフ
St. Bernardus Pater
種類: 修道院ビール
度数: 6: 6%
独断と偏見による評価: ***
色は黒。カラメル香の後ろ側に甘酸っぱさが感じられます。 確かに甘いですが全くくどくなく、心地よい甘さです。 まろやかな味わいでした。
St. Bernardus Prior 8
種類: 修道院ビール
度数: 7.5%
独断と偏見による評価: *****
色は黒。一口飲んで、何だこれ、と思いました。 何と含んだときの香りに吟醸香のような香りがするビールです。 これには驚きました。 適度な甘さで、 本当に幸せなひとときを過ごすことができました。
St. Bernardus Abt. 12
種類: 修道院ビール
度数: 9.5%
独断と偏見による評価: ****
これも色は黒。濃厚で複雑な味と香りを持つビールでした。 さすがにずっとライセンシーだったこともあるのか、 WestvleterenのAbt 12と似ているところがありました。 甘くてどっしりしているのですが、 単にべたべたしているのではなく、不思議と飽きないのです。
St. Bernardus Tripel
種類: 修道院ビール
度数: 7.5%
独断と偏見による評価: *****
これは色は濃い黄色。まず感じられるのは 非常に甘い香(smellの方の香り)です。本当に心地よい豊潤な香りが広がります。 一口飲んでみると、 炭酸は控えめ、酸味もそんなにはありません。 甘味もある程度はあります。 何といってもこのビールのすばらしさは、口に含んだ時に広がる香でしょう。 バナナのような香りさえします。 なめらかで、まろやかで、香り高い、本当に素晴らしいビールです。

St. Bernardus Blond
種類: 修道院ビール
度数: 6%
独断と偏見による評価: ****
これはベルギー国内では原則として売られていません。 輸出専用のビールです。 色、味、香りとも St. Bernardus Tripel に非常に似ていますが、 若干違います。 甘味が少しだけ多めで、炭酸が少なめです。 アルコールもこちらの方が少なめです。 バナナのような香りは Tripel と変わらないか、むしろ 多めのような気もします。


Slijtersbier
発音:
醸造所: De Zwingel (Damweg 6, 8530 Harelbeke)
Slijtersbier
種類: その他のエール
度数: 7%
独断と偏見による評価: ***
色は黄色。 まず初めに感じられるのはホップの香りときつい苦み、 そして酸味です。 甘味は控えめです。 酵母に Rodenbach の酵母を使っているため、 特徴がある酸味です。 こういうビールがあっても良いとは思いますが、 ちょっとバランスが良くないな、と思いました。


Steedje tripel
発音:
醸造所: Steedje (Schoolstraat 45b, 8460 Ettelgem)
Steedje Tripel
種類: その他のエール
度数: 7.9%
独断と偏見による評価: ***
色は黄色。フィルターを通していないので 白濁しています。 甘味が非常にあります。 苦みは普通、炭酸、酸味もほんのわずかです。 こってりとした味で、ちょっと私にはこれは甘すぎました。


Stella Artois
発音:
醸造所: Artois (Vaartstraat 94, 3000 Leuven)
Stella Artois
種類: ピルスナー
度数: 5%
独断と偏見による評価: **
軽い味のごくありきたりのピルスナービール。


Stille Nacht
発音:
醸造所: Dolle Brouwers (Roeselarestraat 12b, 8600)
Stille Nacht
種類: その他のエール
度数: 8%
独断と偏見による評価: ****
OerbierやArabierなどで有名な Dolle Browersがクリスマス用に作っているビール。Stille Nacht とはご想像の通り Silent night のことです。色はオレンジ色。泡はきめこまかく非常に高く盛り上がります。甘酸っぱい香りと味でまるでオレンジか何かを漬け込んだビールを飲んでいるような気さえします。実際にはフルーツ類は一切使っていません。甘酸っぱいのですが酸味、甘味ともに適度でべたついた感じはしません。炭酸も普通か、普通より少し多い程度。苦みはあまり感じませんでした。個人的にはもう少しだけさっぱりした味になってくれればもっと良いのにと思います。


Straffe Hendrik
発音:
醸造所: Straffe Hendrik (Walplein 26, 8000 Brugge)
Straffe Hendrik は Brugge(ブルッへ; Bruges (英・仏) ブルージュ)に 現存する2つの醸造所の1つです。もう1つは Brugse TripelBrugs Tarwebierを 作っているGouden Boomです。 この醸造所は前は「半月」を意味する Hendri Maes と呼ばれていました。 (Alken-Maes 醸造所とは関係ありません。) そのせいか、ラベルにも半月の形をした人の顔が描かれています。 1988年にDentergemのRIVA醸造所(Vondel, Luciferなどを作っている)に 買収され、RIVAグループの一員になりました。 Beginhof (ベギン会修道院)の近くにこの醸造所がありますので、Brugge に 観光に行った際に見学するのも良いでしょう。 筆者の見学記ビールツアーのページに ありますので、ご覧ください。
Straffe Hendrik
種類: その他のエール
度数: 6.5%
独断と偏見による評価: *****


Straffe Hendrik


Straffe Hendrik Bruin
Straffe Hendrik といえば、この濃い黄金色のビールを指していました。 香り、特に口に含んだときの香りが最高です。 新鮮さ、みずみずしい味わいがが熟成した香りとともに調和しています。 甘みもべたつかず適度でした。炭酸は少し多めで、それが 爽快さを与えているようです。本当に美味しいビールでした。 straf とは strong という意味ですが、度数はそんなに強くはありません。
Straffe Hendrik Bruin
種類: その他のエール
度数: 8.5%
独断と偏見による評価: ****
1997年に新登場のBruin(ブラウン)バージョンのStraffe Hendrik です。 色は名前の通り茶色。 鼻に近づけたときの香りはあまりしませんが、 口に含むとバナナを思わせるような不思議な甘い、かつ甘酸っぱい 香りがします。最高です。 このぐらいの色をしていると、培煎香がかなりきつく癖のあるビールに なることが多いと思いますが、これは色の割に培煎香はかなり 控えめでした。 非常に飲みやすく、かつこくもあって美味しいビールだと思います。


Troublette
発音:
醸造所: La Caracole (Cote Marie-Therese 86, 5500 Falmignoul)
Troublette
種類: 白ビール
度数: 5%
独断と偏見による評価: *****
Dinant というベルギーの南の小さな町にある La Caracole 醸造所が作っている白ビールです。このビールは白ビールらしく、色は少し白濁した薄い黄色。飲む前に鼻で味わう香りはまさにレモンのような柑橘系のすばらしい香りです。この香りをじっくりとよく味わっていると、何か特別な成分を加えているとか、何かの成分特有の香り、というわけではなく、実はホップ・小麦・モルトの香りが絶妙のバランスで溶け合い、この柑橘系の香りを成しているらしい、ということがわかります。
口に含んでも、その酸味、甘味、苦みと炭酸はまさにグレープフルーツジュースのような味わいです。小麦のせいか、あるいは炭酸が多いせいか、多少ぴりっとした辛口の味わいもあります。甘味も白ビールの割にはすっきりとしていて少なめに感じるのは瓶内で発酵が進んだためでしょうか。
泡もきめこまかくクリーミー。軽快ですがそれだけではなく、複雑なうまみも感じるすばらしい白ビールです。


Verhaege
発音:
醸造所: Verhaeghe (Beukenhofstraat 96, 8570 Vichte)
Verhaege醸造所はKortrijkの近くの小さな町Vichteにある小さな醸造所ですが、魅力的なビールをたくさん作っています。ただし“Verhaege”という名前を冠しているのは今のところ Pils だけなのでここでは Pils しか挙げていません。代表格の Duchesse de Bourgogne などの他のビール(“Verhaege”という名前を冠していないビール)は独立した項目に入れておきましたのでそちらをご参照ください。
Verhaege Pils
種類: ピルスナー
度数: 4.7%
独断と偏見による評価: ****
これを飲んで私はピルスナーに対する見方が一変しました。このビールを他のベルギーのピルスナー(例えばStella ArtoisやJupilerやMaes)と飲み比べると「格」が違うのがはっきりわかります。すっきりとした喉ごしと一口で括るにもそのすっきりとさせ具合が断然に違うのです。奥行き感・透明感も断然違います。ホップのアロマが非常に上品に感じられます。これを飲んだ後では上に挙げたような他のピルスナーは、平べったくてべとべとしているだけの代物のように感じてしまいます。


Vondel
発音:
醸造所: Riva (Wontergemstraat 42, 8720 Dentergem)
Vondel
種類: その他のエール
度数: 8%
独断と偏見による評価: **
色は茶色。モルトの強い培煎香がします。 飲んでみても培煎香が強くて、甘くて少ししつこく感じました。 あまり好きにはなれませんでした。


Watou's Witbier
発音:
醸造所: Van Eecke (Douvieweg 2, 8978 Watou)
Watous's Witbier
種類: 白ビール
度数: 5%
独断と偏見による評価: ****
Poperings Hommelbierと同じく、 Watou の Van Eecke 醸造所のビールです。 名前の通り、フィルターを通していない、白濁したいわゆるホワイトビールです。 ただ、白濁しているといっても向こうが辛うじて透けて見えます。 ホワイトビールといえば Hoegaarden wit bier が有名ですが、それに比べると炭酸と酸味が強く、甘みも多少多めです。 甘いといってもべたつく甘さではありません。あくまで自然で適度な甘さです。 炭酸と酸味が多いせいか飲んだときの爽快さ、喉ごしの良さは こちらの方が上だと思います。レモンが入っているような錯覚さえ覚えます。 運動の後に飲むと、本当に五臓六腑にしみわたるような幸せな気分になれます。


Westmalle
発音:
醸造所: Abdij der Trappisten Van Westmalle (Antwerpsesteenweg 496, 2390 Malle)
アントウェルペン(アントワープ)の東方、 オランダとの国境近くの町Malle の近くにあるトラピスト修道院。 修道院自体は1794年に設立され、ビール醸造は1836年にはじまりました。
Westmalle Dubbel
種類: トラピストビール
度数: 7%
独断と偏見による評価: ****
色は茶色。泡はきめこまかく、量も多めです。 飲む前にはホップとモルトのさわやかで甘酸っぱい香りがします。 口に含むと、甘味は、酸味、苦みともに適度で非常にさわやかです。 モルトの風味が支配的ですが、すっきりとしていて さわやかで飲みやすく、後味も良いと思いました。 培煎香はあることはあるのですが、色のわりに意外に少なめです。 どっしり系ではなく「きれいな」飲みやすいトラピストビールです。
Westmalle Tripel
種類: トラピストビール
度数: 9%
独断と偏見による評価: *****
昔ベルギーではビールの度数を“X”という文字の数で表していました。低いほうから順番に、“X”がSingle,、“XX”がDubbel、“XXX”がTripelと呼ばれていました。つまり一番強いビールというのがTripelのもともとの意味です。しかし現在、ベルギーのビールでTripelあるいはTripleという名前が付けられているものはすべてこのビールの影響下にあるといっても過言ではないでしょう。現在ではTripelとはこのビールのように淡色で、若干甘味があり、フルーティーで、度数が7度から9度のビールのことをTripelと称する場合が多いようです。このようなタイプのビールの元になった元祖Tripelがこのビールです。(どこから広まった誤解か知りませんが、TripelあるいはTripleとは3回発酵させたビールという意味である、という説を時々聞きます。が、これは明らかに誤りです。)
色は少し薄めの黄色で泡はかなり多め。 鼻に近づけると、微かなホップの香りがします。 さて、口に含むと甘みはかなりありますが、全くべたつきません。 酸味は控えめ。炭酸も少なめです。 苦みはホップの苦みが主体で、量としてはだいぶ多めに感じられ、 後にも残るのですが、心地よい苦さです。 口の中で転がしていると、 わずかにモルトの培煎香とホップの香りがします。 これらの味と香りが組み合わさり、吟醸香にも似たすばらしい 香りが口の中に広がります。 アルコール度数が高いわりにはすっきりとした後口で 非常に飲みやすいビールです。


Westvleteren
発音:
醸造所: Sint Sixtus Abdij (Donkerstraat 12, 8640 Westvleteren)


Sint Sixtus 修道院
Westvleteren は猫祭りで有名な Ieperの少し北にある Vletern という町の Sint Sixtus (セント・シクストゥス) というトラピスト修道院で作られているトラピストビールです。 ベルギーではこの Westvleteren の他、Chimay、Rochfort、 Westmalle の4つのトラピストビールが有名ですが、 このビールは生産量もごくわずかで、一般にはあまり有名ではありません。 しかしながら、ここのビールはどれも本当に素晴らしいビールで、 どのビールも香り、味ともに複雑で濃厚な味わいです。 いろいろな成分が混じり合い、それでいて絶妙に調和し、 熟成されています。かといってどろっとしているわけでもなく、 軽快な味わいです。濃厚であり、なおかつ軽快な味わい、 何か矛盾しているようですが、かように複雑な味わいなのです。 修道院の歴史は、比較的新しく、 1831年設立ですが、ビールの醸造はそのわずか9年後に開始している そうです。
種類は Special 6, Extra 8, Abt 12 の全部で3つと、修道院内での自家消費用のDubbel 4 があります。ここのビールは伝統に従い、ラベルが貼られていません。 王冠で区別します。
ちなみに、よくメニューに "Sixtus" と書かれている カフェがありますが、そこで出てくるものは たいてい、St. Bernardus 醸造所で作られたビールで、 St. Sixtus 修道院で作られたこのビールとは違います。 これは St. Bernardus 醸造所に第二次大戦後ずっと、 "St. Sixtus"という名前をライセンスしていたためです。 1992年にこのライセンス契約は終わり、 今では St. Bernardus 醸造所のビールには St. Sixtus と いう文字は見られません。
Westvleterenを飲むためには、基本的には修道院まで 出かけて行かなければなりません。 修道院が閉まっていても、横にあるカフェ"In de Vrede" (小さな町には不釣り合いなほど広い駐車場があります) で飲むことができます。買ってかえることも できます。ただし、ここのカフェはいつも混んでいます。
Westvleteren Dubbel 4
種類: トラピストビール
度数: 4%
独断と偏見による評価: *****
王冠は緑色。前述の通り、このビールは修道院で修道僧たちが自家消費するためのビールです。修道院に直接買いに行ったり、横のカフェ In de Vrede に行っても手に入れることはできません。ただし、修道院はどうやらこれを外部にも出したいような意向があるようで、今後ひょっとしたら手に入れやすくなるかもしれません。
ビールの色はトラピストビールらしからぬブロンド色で一見ピルスナー風。ブロンド色のトラピストビールというと Westmalle Tripel が有名ですが、それとは全く違う風味のビールです。鼻に近づけると、ホップの良い香りとレモンを思わせる柑橘系の甘い香りがします。口に含むと、メロンやりんごのような味かと思えば、グレープフルーツのような酸味と苦み、という具合にさまざまな味が現れては消えます。口に含むごとに毎回異なる味わいが楽しめます。複雑な味わいをもっているのですが、後味は非常にさっぱりとしています。これは本当にすばらしいビールです。
Westvleteren Special 6
種類: トラピストビール
度数: 6.2%
独断と偏見による評価: *****
王冠は赤。ビールの色は黒。最も度数が低く、口当たりもやわらかです。かと言って、 薄っぺらかというとそんなことは 全くありません。濃厚さ、複雑な香り、味わいを保ったまま 飲みやすく仕上がっています。
Westvleteren Extra 8
種類: トラピストビール
度数: 8%
独断と偏見による評価: *****
王冠は青。ビールの色は黒。濃厚さ、爽快さが絶妙に調和しています。私はこれが 一番気に入りました。
Westvleteren Abt 12
種類: トラピストビール
度数: 11.5%
独断と偏見による評価: *****
王冠は黄色。これぞ、トラピストビール、といった味わいです。 はっきり申し上げて、かなり甘い味わいです。度数は高いですが、まろやかで、するすると飲みやすい。 調子に乗って飲んでいるとえらい目にあいます。 色はほぼ真っ黒。


Witkap
発音:
醸造所: Slaghmuylder (Denderhoutembaan 2, 9400 Ninove)
Witkap Pater Stimulo
種類: その他のエール
度数: 6%
独断と偏見による評価: *****
ホップの香りがきわだつ、さわやかな素晴らしいビールです。 色は薄い黄色で少し白濁しています。 甘味、酸味ともに控えめで、ホップの苦みがよく効いていますが、 後に残る苦みではないので、後口が大変良く、 非常にすっきりとしたビールでした。
Witkap Pater Tripel
種類: その他のエール
度数: 7.5%
独断と偏見による評価: ****
色は薄い黄色で、白濁しています。 甘味、酸味、苦みも普通ですが、炭酸が若干多めに感じます。 ホップが苦みではなく、どちらかというと香りの方に 効いている印象を受けます。 非常になめらかきれいなビールでした。 Timm Webb の "Good beer guide to Belgium and Holland" に よると、発酵前に白ワインを少し混ぜると書かれていましたが、 本当でしょうか。 ただし、ベルギー国内で、あるビール通の友人に聞いてみたら 即座に否定していました。 もし本当に白ワインを加えているとしたら、 清酒の大吟醸などで、 立ち香を豊かにし、口当たりをすっきりさせるために 醸造アルコールを添加するようなものかもしれません。


XX Bitter
発音:
醸造所: De Ranke (Brugstraat 43, 8560 Wevelgem)
XX Bitter
種類: その他のエール
度数: 6%
独断と偏見による評価: **
De Ranke 醸造所は最近できた醸造所だそうです。 XX Bitter はその名の通り、 甘味は非常に少なめ、酸味も少なめですが、 苦みだけは強烈です。 色は薄い黄色です。 苦みはホップの苦みです。 ホップが香りに全く作用せず、すべて苦みになっているような 感じがします。ホップの使用量自体も多分非常に多いと思います。 バランスという点では大きなクエスチョンマークです。 こういう強烈な個性があること自体はすばらしいと思いますが、 私はちょっとやりすぎのように思えました。 苦すぎて全部飲むのに一苦労でした。


Zatte Bie
発音:
醸造所: De Bie (Stoppelweg 26, 8978 Watou)
Zatte Bie
種類: その他のエール
度数: 9%
独断と偏見による評価: ***
Zatte Bie とは「酔っぱらった(zatte)蜂(bie)」という意味だそうです。 但し、ある人から聞いた話ですが、これには「酔っ払った男」という 意味もあるそうです。 ご覧の通り、ラベルには、酔っ払って寝込んでいるビール作りの職人(?)と、 そのまわりを酔っぱらって(?)飛んでいる蜂という構図でユーモラスな絵が 描かれています。
さて、ビールの色は真っ黒です。グラスに入れても向こうが見えません。 で、味は一口目は日本の黒ビールのような味がしますが、 二口目はやわらかいイーストの味が広がります。 三口めで隠れていたアルコールが姿を現します。 ただ、全体的にちょと甘すぎるかな、と思いました。 甘いものが苦手な私にはちょっときつく感じました。 多分発酵は瓶の中で進んでいる最中のはずなので、 もうすこし熟成してから飲むべきものだったのかもしれません。 ともあれ、素朴な味わいで、なかなかおいしかったです。


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