Drie Fonteinen (Beersel)

ドリーフォンテイネン

ブリュッセル南西部のパヨッテンランド(Pajottenland)は、かつてはランビックの醸造所や、グーズのブレンダーが隆盛を極めましたが、伝統的なランビックを生産する醸造所は年々減少し、現在では片手で数えるほどしか残っていません。Drie Fonteinen は最近まで伝統的グーズのブレンダーだったのですが、最近新たにランビック醸造もはじめたj醸造所です。

現在の醸造技術者は Armand Debelder さんで、醸造所付設のレストランの経営を彼の弟が担当しています。醸造所の歴史は1953年にさかのぼります。この年に彼らの父上がグーズのブレンドをこの地ではじめました。(グーズのブレンドだけなので「醸造所」の歴史が1953年にさかのぼるという言い方はあまり正確ではないかもしれません。) それ以来ボーン(Boon)やティマーマンス(Timmermans)が作るランビックを伝統的手法に従いブレンドし、グーズを作り続けて来たのですが、1998年にとうとう自分のところでランビックの醸造をはじめました。ランビック以外にも“Beersel”という上面発酵のビールを作っています。

醸造設備は意外に近代的です。Armandさんだけでもかなりの仕事ができるように、機械のほとんどはコンピュータの画面から操作できるようになっています。例えば、画面でマウスを使って温度を上げるように指示すると、彼がコンピュータの前に座ったままで温度が上がるようになっています。これには非常に驚きました。ただ、OSがウィンドウズ98だったのを見て、醸造の途中でフリーズしないかとちょっと心配になってしまいました。

さて、最初のタンクでは水と材料のモルトを煮込みます。ランビックにはピルスナーモルトを、上面発酵ビールの“Beersel”には特に無農薬のモルトが使われます。煮込む時間は“Beersel”の場合は1時間半ですが、ランビックの場合は5時間もかけて煮込みます。次にホップが加えられます。ホップはベルギー産(恐らくPoperinge産)のハラタウです。ランビック醸造の場合、通常は古い乾燥ホップ(2年ほど経ったもの)を用いるのですが、ここの醸造所では、新しいホップを使用しています。Armandさんによれば、古いホップの香りはあまり良いものではないので、品質を向上させるために新しいホップを敢えて使用しているそうです。

ランビック醸造の場合、麦汁は浅いプールに入れられ、冷却が行われると共に、「神の手」によって野生の酵母が加えられます。麦汁はフランス製やポルトガル製の樽に入れられ、発酵と熟成が行われます。


いろいろな醸造所のランビックの樽が並ぶ


Drie Fonteinen 製のランビックの樽には“3”と印がつけられている。

さて、このようにしてできあがったランビックをブレンドし、グーズが作られます。Drie Fonteinenでは1年もの、2年もの、3年もののランビックを使用しますが、自分のところのランビックだけではなく、ボーン(Boon)、リンデマンス(Lindemans)、ジラルダン(Girardin)のものも使われています。


Armandさんと筆者
Armandさんはこの仕事に自信をもっていますが、お金のことは二の次で、レストランで稼げるからこそやって行ける、とも仰っていました。伝統的なランビック醸造やグーズ製造の置かれた厳しい状況を再認識するとともに、Armandさんのように、伝統を守ることの大切さを自覚した人々の献身的な努力により、伝統的ランビック作りが守られていることを実感した訪問でした。ベルギーに旅行に行かれた方は時間があればぜひ行ってみて下さい。レストランで食べられるグーズを使った料理(牛肉のカルボナード、うさぎ肉のグーズ煮など)は最上級のおいしさであることも付け加えておきます。


皆さんからの情報

Drie Fonteinen

3 Herman Teirlinckplein,
B-1650 Beersel

Tel: +32 2 331 0652
Fax: +32 2 331 0703

火曜・水曜休み

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KENMOCHI Hideki <hideki@kenmochi.com>